「みんなで大家さん」が事実上、業務停止になり終了したようです。
2026年9月1日、大阪府と東京都は販売会社に対して不動産特定共同事業の許可取消処分を出しました。これでもう、新規募集はおろか事業の継続そのものが不可能になったということです。振り返れば伏線はありました。2024年6月の時点で「投資判断に重要な情報が十分に説明されていなかった」として業務の一部停止処分が出ており、そこから新規募集の停止、分配金の遅延、そして今回の許可取消へと、坂道を転がるように進んでいきました。
目玉案件だった成田空港周辺の「ゲートウェイ成田」開発は、報道によれば進捗率が数%程度にとどまっていたといいます。地主側も契約更新に応じず、成田国際空港会社は用地の賃貸借を打ち切る通告をしたとも報じられています。出資者側の集団訴訟はすでに複数件起きており、直近では2,500人規模・総額230億円の返還請求にまで膨れ上がっています。
これは、結果的にポンジスキームだったのでしょうか。
事業者が本当に成田を開発しようとしていたのであれば、そうはならないのでしょうけど――と思う一方で、この問いに白黒つけるのは、法律の世界ではとても厄介な作業だということも分かってきました。詐欺罪が成立するには「最初から履行する意思や能力がなかった」という主観的な要件、つまり欺罔の故意を立証しなければなりません。これは基本的に、資金の流れを内部まで精査しないと見えてこないものです。集めたお金が本当に開発費に回っていたのか、それとも新しい出資者から集めたお金を古い出資者への分配に回す自転車操業だったのか。外形だけでは判別がつかない。
「本当にやるつもりだった」 「最初から騙すつもりだった」
この2つは雲泥の差ですが、証明しようとすると難しい。とても不思議な世界です。
進捗率数%という数字は、「そもそも開発をやり切る体力がなかった」ことの傍証には見えます。ただし、それ自体は詐欺の故意の証明にはならない、というのが法律の建前です。無能で見通しが甘かっただけなのか、意図的に欺いていたのか。この境界線は、当事者の頭の中にしかなく、外からは驚くほど見分けがつきません。今回のケースも、現時点では刑事事件としての詐欺認定には至っておらず、あくまで行政処分と民事の返還請求訴訟という枠組みにとどまっています。
法整備が整っていないから、不動産クラウドファンディングはやらない方がいいと言われますが、その通りだと思います。
不動産クラウドファンディング(不動産特定共同事業)は、匿名組合出資というスキーム上、証券取引のような厳格な情報開示や第三者チェックの仕組みが薄く、事業者の自主的な説明責任にかなりの部分を依存しています。今回の処分理由が「重要事項の説明不足」だったことがまさにそれを物語っていて、規制の実効性が「事が起きた後の行政処分」止まりになりがちで、出資者保護がどうしても後手に回る構造があります。
善意と詐欺の間にあるグレーゾーンを、法律は「証明できるかどうか」でしか切り分けられません。そしてそのグレーゾーンにお金を投じるリスクを最終的に引き受けるのは、いつも出資者側だということを、今回の件は改めて教えてくれた気がします。
