東京都の補助金を最大限使った「太陽光のみ」と「太陽光+蓄電池」を、インデックス投資と30年間で比較してもらいました。
・・・・・・・・
はい。2026年度の東京都制度を前提にすると、かなり興味深い結果になります。
結論から言うと、最大限の補助を本当に取れるなら「太陽光のみ」が最も合理的という結果になりました。
「太陽光+蓄電池」もインデックス単独に勝つ可能性がありますが、蓄電池を追加するとむしろ投資効率は落ちるというのが基準ケースです。
前提
今回は東京都の既存戸建てに5kWの太陽光を載せるケースとします。
2026年度東京都では、既存住宅で3.75kW超なら太陽光は12万円/kW、さらに「機能性PV」は最大10万円/kWの上乗せがあります。したがって5kWなら理論上、
60万円+50万円=最大110万円
の助成が可能です。ただし助成対象経費が上限なので、実際にもらえる額は製品・工事費によります。(クール・ネット東京 東京都地球温暖化防止活動推進センター)
蓄電池については10万円/kWh、DR実証への参加でさらに10万円などの加算があります。10kWhならおおむね110万円程度を今回のモデルで使います。(クール・ネット東京 東京都地球温暖化防止活動推進センター)
設備価格については、
- 太陽光5kW:150万円
- 蓄電池10kWh:180万円
と置きます。
太陽光について国の2026年度想定コストは25.5万円/kWなので、5kWで約128万円が一つの目安です。今回は機能性PVを選ぶことを考えて150万円とやや高めに置きました。(経済産業省)
蓄電池は経産省資料では、補助事業外なら機器だけで15〜20万円/kWh程度+工事費という水準が示されているため、10kWhで180万円は不自然ではありません。(経済産業省)
すると初期自己負担はこうなります。
| 設備価格 | 東京都補助 | 自己負担 | |
|---|---|---|---|
| 太陽光5kWのみ | 150万円 | 110万円 | 40万円 |
| 太陽光+蓄電池 | 330万円 | 220万円 | 110万円 |
| インデックス | ― | 0円 | 投資額そのまま |
ここで東京都の補助金の破壊力が分かります。
発電条件
5kW、設備利用率13.7%とすると初年度発電量は約6,000kWhです。設備利用率13.7%は資源エネルギー庁が住宅用太陽光の想定に使ってきた水準です。(経済産業省)
出力劣化は年0.5%と仮定します。これはNEDOの過去の評価でも正常時のモデルとして使われている値です。(NEDO)
また2026年度FITは住宅用10kW未満について、
1〜4年:24円/kWh
5〜10年:8.3円/kWh
です。(エネルギー庁)
買電価格は35円/kWh、FIT終了後の売電価格は8円/kWhとして計算します。
太陽光単体は発電量の30%を自家消費。
蓄電池ありは当初70%程度まで自家消費できるものの、蓄電池は徐々に劣化するとしました。家庭用蓄電池は一般に10〜15年程度の寿命とされ、経産省資料でも15年後のリプレースを想定しています。(経済産業省)
そして15年以降は、蓄電池を新品交換せず、太陽光単体に戻るという保守的な条件にしています。
30年間の結果
まず「その設備だけ」の収益性です。
① 太陽光のみ
自己負担はわずか40万円。
30年間の発電・節電・売電利益から維持費を引いた累積キャッシュフローは約242万円。
初期40万円を引くと、
30年間の名目純利益:約202万円
となります。
この条件ではIRRはなんと**約30%**です。
これは太陽光そのものが30%で儲かるという意味ではありません。
150万円の設備のうち110万円を東京都が負担してくれるため、自己資本40万円に対する収益率が異常に高くなっているわけです。
② 太陽光+蓄電池
自己負担110万円。
蓄電池によって昼の余剰電力を夜に使えるので、自家消費による経済効果は増えます。
しかし30年間では、
名目純利益:約192万円
IRRは、
約11.5%
となりました。
十分優秀です。
ただし、太陽光単体より明らかに効率が落ちます。
理由は単純です。
蓄電池を追加すると自己負担が70万円増えるのに、蓄電池によって得られる30年間の追加経済効果は、それほど大きくありません。
③ インデックス年5%
ここが本題です。
単純に40万円を30年間5%で運用すると、
約173万円
110万円なら、
約475万円
になります。
一見すると「やっぱりインデックスの方が大きいじゃないか」と見えます。
しかしこの比較には問題があります。
太陽光は途中で毎年キャッシュを生むので、その節電・売電収入を再びインデックスへ投資できるからです。
そこで最も公平な比較をします。
330万円の資金を持っている人がどう配分するか
これはかなり面白いです。
A:全部インデックス
330万円を5%で30年間。
約1,426万円
B:太陽光だけ導入+残りをインデックス
太陽光に自己資金40万円。
残り290万円をインデックスへ。
さらに毎年の太陽光収益も5%で再投資します。
30年後:
約1,843万円
C:太陽光+蓄電池+残りをインデックス
設備に自己資金110万円。
残り220万円をインデックスへ。
節電・売電収益も毎年再投資。
30年後:
約1,717万円
したがって、
| 戦略 | 30年後 |
|---|---|
| 全額インデックス | 約1,426万円 |
| 太陽光+残額インデックス | 約1,843万円 |
| 太陽光+蓄電池+残額インデックス | 約1,717万円 |
となります。
この結果なら、
太陽光のみ > 太陽光+蓄電池 > 全額インデックス
です。
これはかなり重要な結果だと思います。
ただし、理由は「太陽光がインデックスより優秀」ではない
ここは誤解しない方がいいです。
むしろ今回の議論でおっしゃっていた、
インデックスは無形・流動性・分散・更新性が圧倒的に優れている
という評価はそのままです。
今回太陽光が勝った理由は、ほぼ一つです。
東京都が150万円の設備に最大110万円も補助するからです。
つまり、
自分のお金40万円
+東京都のお金110万円
=150万円の発電資産
を手に入れている。
これは市場から見ると非常に特殊なレバレッジです。
インデックスでは、
自分が40万円出したら40万円分しか買えない。
太陽光では、
40万円しか出していないのに150万円分の設備が働いてくれる。
だから勝てるのです。
そして蓄電池が面白い
今回、私が一番注目するのはこちらです。
太陽光単体から蓄電池を追加すると、
自己負担が70万円増える
一方、その蓄電池が生み出す追加経済価値を5%で現在価値にすると、今回のモデルでは約41万円しかありません。
つまり、
70万円追加投資して
41万円相当の経済価値を得ている
ことになります。
投資としては割に合わない。
70万円をそのまま5%で30年間運用すれば、
約303万円
になります。
したがって、
「太陽光を載せる合理性」と「蓄電池を載せる合理性」は完全に別問題
です。
私はここを分けて考えます。
私ならどうするか
この条件が本当に自宅で成立するなら、私なら、
太陽光は載せます。
蓄電池は載せません。
浮いた資金をインデックスに入れます。
です。
これは、最初に話していた「AかBか」と少し違う結論になりました。
太陽光 vs インデックス
ではなく、
補助金だけ最大限利用して太陽光を最低限導入し、それ以外の資本はインデックスへ逃がす
というハイブリッドが一番合理的です。
そして、この結論は投資理論的にもすっきりしています。
太陽光については、
公的補助金という市場外リターンだけを取る。
蓄電池・V2Hなど、補助金を取るために追加支出が必要になる設備については、
追加投資ごとにインデックス5%と比較する。
追加IRRが5%を十分超えなければ買わない。
この考え方です。
なお、今回の試算は**「機能性PV最大加算を受けられる」「5kWが150万円」「10kWh蓄電池180万円」**という最大補助寄りのモデルです。実際の見積書ではここが大きく動きます。また太陽光の定期点検・パワコン交換については、資源エネルギー庁の維持費水準を織り込んでいますが、30年後の撤去・リサイクル費用は将来制度がまだ動いているため固定額を入れていません。政府も2030年代後半の大量廃棄を見据えて制度整備を進めています。(経済産業省)
ですから次にやる価値が高いのは、ご自宅の実際の条件での計算です。 「屋根面積から載せられるkW数」「実際の東京都補助」「太陽光のみの見積額」「蓄電池込み見積額」が分かれば、この330万円モデルではなく、かなり精密に「太陽光だけ載せるべきか」を判定できます。
・・・・・・・・・
ということで、
太陽光と浮いたお金でインデックスという組み合わせが一番良いのではないか?
という結論が出ました。
でもこれはまだ条件が足りていませんよね?
ということで
でもこれは修理 廃棄を前提にしていませんよね?
続く
