富める者を救い、貧しい者はインフレで苦しむ

金融緩和の本質を、かなり乱暴に言えばこうです。

富める者を救い、
貧しい者はインフレで苦しむ。

まさに今の世界です。

そしてこれは、たまたまそうなったわけではありません。
結果的にそうなった、というより、構造的にそうならざるを得ないメカニズムがあります。

中央銀行が金融危機を止めるために、市場から資産を買う。
国債を買う。
住宅ローン担保証券を買う。
市場に大量のお金を流し込む。

すると何が起きるか。

債券の価格が上がる。
株価が上がる。
不動産価格が上がる。
金融市場は息を吹き返す。

これは危機対応としては正しいのかもしれません。
市場を崩壊させないためには、必要な処置だったのかもしれません。

しかし、その恩恵は平等には届きません。

なぜなら、上がるのは資産価格だからです。

株を持っている人。
不動産を持っている人。
金融資産を持っている人。

そういう人たちは、金融緩和によって資産価格が上がることで豊かになります。

一方で、資産を持っていない人には、その恩恵はほとんど届きません。

給料がすぐに上がるわけではない。
生活が急に楽になるわけでもない。
銀行預金の残高が増えるわけでもない。

ただ、時間差でインフレだけがやってくる。

食料が上がる。
電気代が上がる。
ガソリン代が上がる。
家賃が上がる。
日用品が上がる。

そして、給料はそれに追いつかない。

生活費の大半を消費に使わざるを得ない人ほど、インフレの打撃を強く受けます。
これは本当に残酷な構造です。

資産家は、インフレを株や不動産の値上がりである程度ヘッジできます。
しかし、預金しか持っていない人は、物価上昇によって実質的に資産を目減りさせ続けることになります。

数字上の預金残高は減っていない。
でも、買えるものは減っている。

これがインフレの怖さです。

ピケティは、これを冷静に

r > g

という形で示しました。

資本収益率は、経済成長率を上回る。
つまり、資本を持つ人は、労働だけで生きる人よりも豊かになりやすい。

もちろん、これは昔からある資本主義の構造です。

しかし、リーマンショック以降の世界では、そこに中央銀行の金融政策が加わりました。

危機が起きる。
中央銀行が市場を支える。
資産価格が上がる。
資産を持つ人がさらに豊かになる。

その一方で、資産を持たない人には、インフレという形で負担が回ってくる。

これは単なる格差の話ではありません。
お金の流れる順番の話です。

そして、日本は特に深刻です。

日本では長い間、
「貯金は美徳」
「投資は危ない」
「汗水流して働くことが正しい」
という価値観が根強くありました。

もちろん、勤勉であることは素晴らしい。
節約することも大切です。
生活防衛資金としての預金も必要です。

でも、問題はそこではありません。

真面目に働き、節約し、銀行に預ける。
その行動を最も忠実に続けてきた人ほど、インフレ時代には報われにくくなってしまった。

これは個人の努力不足ではありません。
システムの問題です。

お金の価値が薄まっていく時代に、
お金をそのまま持ち続けることは、静かに購買力を失うことでもあります。

だからこそ、気づかなければいけない。

投資をしろ、という単純な話ではありません。
株を買えば必ず儲かる、という話でもありません。
不動産を持てば安心、という話でもありません。

そうではなく、まず理解すべきなのは、
現金だけが安全だという時代ではなくなった
ということです。

資産を持つ人は、インフレを味方につけることができる。
資産を持たない人は、インフレに生活を削られる。

この違いは、時間が経つほど大きくなります。

だからこそ、今の時代に必要なのは、
お金を増やす知識ではなく、
お金の価値が変わる仕組みを理解することです。

富める者を救い、
貧しい者はインフレで苦しむ。

これは感情的な批判ではありません。
現代の金融システムが生み出す、かなり冷静な構造です。

気づいてください。

Notice.

onorenoo

おのれ

@onorenoo

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