動かぬ証拠 リーマンショック後にお金の常識は変わっている

中央銀行のバランスシート。
株式指数。
そして実体経済。

この3つを1990年ごろから並べて見ると、現代資本主義の構造がかなりはっきり見えてきます。

実体経済、つまり米国の実質GDPは、1990年から2025年にかけておよそ2.4倍に成長しました。名目GDPで見ても約5倍強です。もちろん大きな成長ではありますが、その歩みは比較的ゆるやかです。

一方で、株式市場はまったく違う動きをしました。

S&P500は、価格指数だけでも1990年から2025年にかけて20倍前後に上昇しています。配当再投資込みで見れば、その差はさらに大きくなります。

そして、もうひとつ決定的なのが中央銀行のバランスシートです。

FRBの総資産は、リーマンショック前には1兆ドル弱でした。しかし、リーマンショック後の量的緩和によって急膨張し、ピーク時には約9兆ドル近くまで拡大しました。つまり、リーマンショック前と比べて約10倍です。

ここに、現代のお金の流れが表れています。

実体経済はゆっくり成長する。
しかし、金融市場には中央銀行から大量の流動性が供給される。
そのお金は、賃金や生活実感よりも先に、株式・不動産・債券・オルタナティブ資産へ流れ込む。

だからこそ、リーマンショック前と後では、お金に関する常識が変わってしまった。
これは決して大げさな表現ではないと思います。

リーマンショックは、単なる金融危機ではありませんでした。
あれは、中央銀行が市場を直接支える時代への転換点でした。

ピケティ的に言えば、

r=資本収益率
g=経済成長率

この差が、2008年以降に構造的に拡大した。

資本を持つ人は、資産価格の上昇によって豊かになる。
資本を持たない人は、賃金の伸びよりも先に物価上昇を受ける。

これは単なる「市場の結果」ではなく、金融政策によって強化された構造でもあります。

そして、日本人の多くは、この構造にまだ十分に気づいていないように見えます。

なぜなら、家計の金融資産を見ても、いまだに現金・預金の比率が非常に高いからです。日銀の資金循環統計では、2025年末時点でも日本の家計金融資産2,351兆円のうち、現金・預金が1,140兆円、つまり48.5%を占めています。 

もちろん、現金は大切です。
生活防衛資金は必要です。
短期的な安全性も重要です。

しかし、長期で見たときに、現金だけを持ち続けることは、インフレと資産価格上昇の世界では、静かに購買力を削られる行為にもなり得ます。

だからこそ、実物資産や優良株式を長期で保有するという考え方は、単なる投資テクニックではありません。

それは、現代の金融構造を理解したうえで、
r > g の側に立つための合理的な戦略なのだと思います。

onorenoo

おのれ

@onorenoo

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