NISAでインデックス投資は多くの日本人がリスクを怖がってやらないのに 、自宅への太陽光パネルはやろうとする 。同じ投資商品というジャンルで 期待値の上振れの差、リスクと流動性がここまで違うのに それでもNISAでインデックスをやる前に太陽光にとうする。というのは そのような土俵での考え方がそもそも できていない、提示されていない、 リテラシーではなく 教育やマーケティングなどの問題でしょうね。
・・・・・・・
はい。私はこれはかなり大きく、個人の「金融リテラシー不足」だけでは説明できない問題だと思います。むしろ「同じ投資として比較する土俵が最初から提示されていない」という点が本質に近いです。
太陽光を勧められるとき、多くの場合は「投資商品」として提示されません。
「電気代が安くなります」「10年で元が取れます」「補助金が出ます」「災害時にも安心です」「環境にも良いです」と、住宅設備・節約・安心の話として提示される。
一方、NISAは最初から「投資」です。
「元本割れがあります」「株価は暴落します」「将来の利益は保証されません」と言われる。すると心理的には、
太陽光=堅実な節約
インデックス=危険な投資
という分類になってしまいます。
でも200万円を自分の財布から出すという資本配分の観点から見れば、
太陽光も立派な投資です。
しかもかなり特殊な投資です。
200万円を一つの住宅、一つの屋根、一種類の設備に集中させ、ほぼ換金不能にし、故障・劣化・撤去リスクを引き受ける。
それに対して全世界株式なら、200万円を世界中の企業へ分散し、日々価格変動を受ける代わりに、高い流動性を維持する。
ところが太陽光について営業担当者から、
「この200万円をオルカンに入れた場合の機会費用はどうしますか?」
とはまず聞かれません。
これが非常に大きいと思います。
さらに人間には「目に見えるものを安全だと感じやすい」という性質があります。
屋根の上にパネルがある。毎日発電量が表示される。「今日は500円得しました」と見える。
非常に分かりやすい。
インデックスは違います。
200万円を入れても何も届かない。屋根にも何も付かない。翌月180万円になるかもしれない。
それだけ見ると怖い。
しかし経済的には、目に見えることと安全であることは別問題なんですよね。
太陽光には市場価格が毎日表示されないだけで、経済価値は確実に変動しています。中古設備としての価値は低下し、劣化し、技術革新によって相対的に旧式になります。
つまり、
価格が表示されないから、値下がりしていることを感じない。
これは不動産にも似ています。
株式は毎日値札が付くので「危険」に見える。一方、不動産や太陽光設備は毎日時価が表示されないので「安定」に見える。
ここにはかなり大きな可視性の錯覚があります。
そして補助金も心理的に強力です。
「東京都から100万円出ます」と言われた瞬間、
100万円得する
と感じます。
でも投資家なら本来、
補助金を受けた後の自己資金はいくらか
↓
そこから得られるキャッシュフローはいくらか
↓
故障・撤去まで含めたIRRはいくらか
↓
その資金を他へ投じた場合より本当に優れているか
と考えるべきです。
補助金そのものが投資理由ではありません。
そしてマーケティング面でも非対称性があります。
太陽光200万円を販売すれば、販売会社、施工会社、メーカーなどに売上が立つ。だから営業する経済的インセンティブがあります。
一方、「その200万円を低コストの全世界株式インデックスに30年間置いてください」は、販売する側からすると非常に儲けにくい。
極端に言えば、
優れた金融商品ほど、誰も熱心に売ってくれない
という現象さえ起こります。
低コストインデックスは典型的です。買ったらほぼ何もしなくていい。営業担当もいらない。工事もない。メンテナンス契約もない。
商品としては非常に地味です。
一方太陽光なら、「補助金」「電気代」「環境」「災害対策」「将来の値上がり」と、いくつもの物語を付けられる。
だから私は、今回の話は「日本人は金融リテラシーが低い」で終わらせると少し違うと思います。
むしろ、
資本配分という共通の物差しで比較する教育を受けていない。
という方が近い。
200万円の車を買う。
200万円の太陽光を載せる。
200万円繰上返済する。
200万円を定期預金に置く。
200万円でオルカンを買う。
これらを普通は別々のカテゴリーとして考えます。
でも資産形成の視点では全部、
「手元の200万円に、これから何をさせるか」
という一つの問題です。
ここまで統一して考えられるようになると、投資に対する見え方がかなり変わります。
そして今回の話で一番面白い問いは、もはや
「太陽光とオルカン、どちらが得か」
ではなく、
「あなたの200万円を、これから30年間どこで働かせたいですか?」
なのだと思います。
この問いなら、利回りだけでなく、流動性、分散、寿命、リスク、機会費用、そして「未来の選択肢をどれだけ残すか」まで自然に考えることになります。
・・・・・・・・
つまり、
太陽光を載せている時と載せていない時を比較していませんか?という話ですよね
・・・・・・・・
そうです。まさに比較の置き方がずれている、という話です。
太陽光の営業資料やシミュレーションは、多くの場合、
太陽光を載せない家 vs 太陽光を載せた家
を比較します。
すると当然、
載せない → 電気代を払い続ける
載せる → 電気代が減る+売電収入がある
なので、太陽光を載せた方が有利に見えます。
でも資本配分の観点では、本当に比較すべきなのはそこではありません。
200万円を太陽光に使う
vs
200万円を別の資産に投資し、電気代は普通に払う
です。
この「機会費用」が抜けています。
例えば非常に単純化して、太陽光200万円が年間20万円の電気代削減・売電効果を生むとします。
太陽光側は、
200万円 → 屋根へ固定 → 年20万円程度を生む
となります。
一方、オルカン側は、
200万円 → 世界株式 → 例えば長期年率7%なら期待値として年14万円相当から複利成長
しながら、電気代は給与などの通常キャッシュフローから払う。
最初の数年だけ見ると太陽光の「年間20万円節約」はかなり魅力的です。
しかし20年、30年になると複利が効いてくる。
200万円を年7%で30年間なら約1,522万円です。
だから本来の比較は、
① 太陽光なし・何もしない
ではなく、
② 太陽光あり
と
③ 太陽光なし・その200万円を運用
の比較なんですよね。
そして①を対照群にしてしまうと、太陽光が非常に魅力的に見える。
ここにはマーケティング上のかなり大きな違いがあります。
たとえば、
「この太陽光を導入すると30年間で500万円の電気代を削減できます」
と言われれば、500万円得するように感じます。
でも本当に聞きたいのは、
「最初に払う200万円を30年間ほかで運用した場合と比べても、500万円の節約には価値がありますか?」
です。
さらに厳密には、
太陽光
=初期費用
+節電
+売電
−修理
−パワコン交換
−劣化
−撤去
と、
インデックス
=初期投資
+複利収益
−信託報酬
−必要なら税金
を同じ30年間で比較すべきです。
そうすると「電気代が○万円浮きます」という言葉自体の意味が変わります。
浮いた電気代=利益ではありません。
その利益を生み出すために、最初に200万円という資本を投入しています。
だから、
「太陽光で電気代はいくら浮くか?」ではなく、
「この200万円を太陽光に置くことは、200万円の最善の使い道なのか?」
が正しい問いになります。
今回ずっと話してきた内容は、ほとんどこの一点に集約できると思います。
「導入する/しない」ではなく、「資本をどこへ配分するか」で比較する。
この視点が入った瞬間、住宅設備の話だった太陽光が、インデックス、不動産、繰上返済、現金保有などと同じテーブルに乗ってきます。
そこから初めて、本当の意味での投資判断になります。
・・・・・・
太陽光パネルを「節約の設備」として考えるよりも
そもそも「投資商品」として考える、というのが本質ではないでしょうか?
それを理解した上で、リスクを承知した上で、うまく運用していく
それが大事ではないでしょうか。
