臨床以外の仕事に関心を持つ医師に対して、今でも冷ややかな目はあります。
情報発信をする医師。
株式投資の勉強をする医師。
副業を持つ医師。
医療DXやビジネスに関心を持つ医師。
そういう医師を見ると、
「臨床以外のことをしている医者なんて、ろくなものじゃない」
という見方をする人も、まだまだいます。
でも、僕はそうは思いません。
時代は変わっています。
むしろ、医学だけに閉じていることの方が、これからの時代にはリスクになるのではないかと感じています。
医療業界は、依然として古い体質を強く残しています。
DX化は進んでいるようで、現場感覚としてはまだまだ不十分です。
紙、FAX、電話、属人的な調整、昔ながらの上下関係。
効率化できるはずの業務が、いまだに精神論で支えられている場面も多い。
もちろん、医療には変えてはいけない部分もあります。
患者を診る責任。
安全性への慎重さ。
命を扱う職業としての倫理。
これは絶対に軽くしてはいけません。
ただ、それと「古い体質を守ること」は別です。
医師が医学以外に視野を広げることは、患者のためという大義名分と矛盾しません。
むしろ、これからの時代には必要なことだと思います。
投資の勉強をする医師は、社会の経済構造を理解できます。
情報発信をする医師は、患者がどんな情報に迷い、何に不安を感じているかを知ることができます。
DXに関心を持つ医師は、現場の非効率を技術で改善する視点を持てます。
医療以外の仕事を持つ医師は、医療の内側だけでは見えない社会の仕組みに触れることができます。
これは、臨床を軽視することではありません。
臨床をより深く、より広く捉えるための視野です。
「臨床以外に時間を使うこと」と、
「臨床を疎かにすること」は、同じではありません。
この2つを混同してしまうところに、医療業界の古い価値観が残っている気がします。
もちろん、臨床能力が未熟なうちから、外の世界ばかりに目を向ける危うさはあります。
医師である以上、まず患者を診る力を磨く。
診断する力。
治療する力。
合併症に対応する力。
不安を抱える患者に説明する力。
責任を背負う力。
これは土台です。
この土台がないまま、医師という肩書きだけで外に出ていくのは危うい。
でも、土台を作った医師が、そのうえで外の世界を知ることは、むしろ健全です。
医療だけに閉じた医師よりも、社会全体の構造を知っている医師の方が、患者に提供できる価値は大きいかもしれません。
