医学の世界では、風邪に解熱薬を、咳に咳止めを、骨折に鎮痛薬を処方することがあります。
これを対症療法と呼びます。
原因を取り除くのではなく、辛い症状だけを和らげる治療です。
根本は何も変わっていない。
ガソリン代への補助金も、同じです。
2022年以降、日本政府がガソリン・電気・ガスに投じた補助金は累計で10兆円規模に達しています。
実際の需要と供給が生み出す価格を、政策によって抑え込んでいる。対症療法です。
なぜ政府はこれをするのか。
国民の生活を守るためでもありますが、もう一つの理由があります。
日本人は、価格が変わることへの耐性が他国と比べて低い。
失われた30年の中で物価がほとんど動かなかった経験が、「値段は変わらないもの」という感覚を社会に根付かせました。
変化への恐怖と、現状維持への強い執着。
これは民族性というより、デフレという長い経験が形成した集団的な感情です。
構造が感情をつくり、感情がまた政策を動かす。
だから政府は補助金を出し続ける。
構造上上がるべきものを、感情的な反発を避けるために抑え込む。
構造変化は遅延しますが、止めることはできません。
その間に、気づいている人・資本を持つ人間は動き、さらに資産を積み上げていきます。
補助金の財源は国債です。
その返済は将来的な増税か、通貨の希薄化によって賄われる。
どちらに転んでも、実物資産や株式を持つ資本家には有利に働く。
結局のところ補助金とは、気づかぬうちに資本家への間接的な贈り物になっているのです。
気づいてください。
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