プライシングパワーと医学

フジクラ・古河電工・キオクシア

プライシングパワーの強い業界について前回記事で言及しましたが

では、プライシングパワーのない医療の世界で働く者は、どうすればいいのでしょうか。

大きく分けると、いくつか道があります。

ひとつは、保険制度を深く理解することです。

保険診療は公定価格です。
自分で価格を決めることはできません。

しかし、制度の中で何が評価され、何が評価されにくいのか。
どの診療行為がどのように点数化されているのか。
どこに無駄があり、どこに改善余地があるのか。

それを知ることで、限られた制度の中でも、効率化や最大化を考えることはできます。

価格は決められない。
でも、構造を理解することはできる。

これは、保険診療の中で働く医療者にとって大事な知恵だと思います。

もうひとつは、保険診療の外に出ることです。

自由診療、美容医療、予防医療、企業向け医療、医療監修、情報発信、教育、コンサルティング。

公的価格の外に出れば、少なくとも一部では自分の価値を自分で価格設定できる余地が生まれます。

最近話題になる、いわゆる「直美」の給与が高いのも、このプライシングパワーが関係している面はあると思います。

保険診療では、若手医師がどれだけ頑張っても、診療単価を自由に上げることはできません。
しかし自由診療の世界では、需要があり、技術があり、集客ができれば、価格に反映される余地がある。

ただし、ここには注意も必要です。

自由診療は、プライシングパワーがある世界である一方で、競争も激しい世界です。

価格を自由に決められるということは、同時に、選ばれなければゼロになるということでもあります。

保険診療には、制度に守られている面があります。
自由診療には、制度の外に出る自由がある代わりに、市場にさらされる厳しさがあります。

だから、医師としての技術や信用を持たないまま、最初から枠の外へ出るのはリスクが高い。

保険診療の中で技術を磨く。
患者を診る力をつける。
合併症やトラブルに対応できる力をつける。
医療者としての信用を積み上げる。

そのうえで、保険診療の外に一部の選択肢を持つ。

この順番は、かなり大事だと思います。

あるいは、医業とはまったく関係のない副業を持つという選択肢もあります。

ブログでもいい。
投資でもいい。
不動産でもいい。
教育でもいい。
コンテンツでもいい。

大事なのは、労働収入だけにすべてを預けないことです。

医師という職業は、人的資本の塊です。

しかし、人的資本には限界があります。

体力には限界がある。
時間には限界がある。
当直できる回数にも限界がある。
手術できる件数にも限界がある。

だからこそ、金融資本を育てる。
信用資本を育てる。
知的資本を育てる。

これらは、時間とともに複利で効いてきます。

若い頃に積み上げた技術。
日々の診療で得た信用。
継続して発信してきた言葉。
少しずつ買い続けた金融資産。

それらは、すぐには大きな差になりません。

でも10年、20年経つと、かなり大きな差になります。

医療の世界で価格を決められないなら、
自分の人生の設計くらいは、自分で決めた方がいい。

保険診療の中で誠実に働くこと。
制度を理解して、最大化すること。
必要なら、保険診療の外にも選択肢を持つこと。
そして、金融資本と信用資本を複利で育てること。

これが、インフレ時代に医療者が沈まないための現実的な戦い方なのだと思います。

 

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onorenoo

おのれ

@onorenoo

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