臨床をしていると、こちらの話にまったく聞く耳を持たない人に出会うことがあります。
知識不足なのか。
医療不信なのか。
それとも、目の前の生活で精一杯になり、視野が狭くなっているのか。
理由は人それぞれです。
ただ、少なくともその病気や怪我に関しては、知識と経験はこちらの方が多い可能性が高い。
「このままだと危ない」
「今、治療しないと取り返しがつかなくなる」
そう伝えても、
「仕事がある」
「予定がある」
「今は無理です」
と言われることがあります。
もちろん、その事情はわかります。
僕ら医療者だって、簡単には休めません。
急に入院が必要だと言われたら、職場に迷惑をかけるかもしれない。
予定をキャンセルしなければならない。
家族にも負担がかかる。
その不安は、よくわかります。
でも、現実として、治療のタイミングを逃した結果、身体の一部を失ってしまうこともあります。
その時になってからでは、もう戻せないことがあるのです。
仕事は大事です。
責任もある。
自分にしかできないと思っている仕事もあるかもしれない。
でも、いい意味で、世の中は自分が不在でも回ります。
誰かが代わりに対応してくれる。
多少の混乱はあっても、何とかなる。
最初からそれを当てにするのは違うかもしれません。
でも、普段から真面目に働いている人なら、いざという時くらい、周りはきっと支えてくれます。
むしろ、本当に替えがきかないのは仕事ではなく、自分の身体です。
仕事の穴は誰かが埋めてくれるかもしれない。
でも、失った身体の一部は、誰も代わりに取り戻してはくれません。
だから、まずは仕事よりも自分を優先していい。
自分の身体より大事な資本はありません。
「休めない」のではなく、
「今、休まなければいけない時がある」。
そういう判断を、どうか間違えないでほしいと思います。
仕事の全てが「欲望のルール」ではないと思いますが
何よりも「いのちのルール」を大切に扱ってください。
Oyaji Diary
