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生命保険料控除の節税効果は思ったほど大きくない?その仕組みと実際の金額を解説

お金・投資のこと

■この記事はこんな方におすすめ

  • 「生命保険料控除があるから」と貯蓄型保険に入っている方
  • 保険の加入理由を税制優遇に求めている方
  • 本当に得か損かを数字で知りたい方
  • 保険選びに迷っている投資初心者・家計管理中の方

■生命保険料控除ってなに?

生命保険料控除とは、民間の生命保険に支払った保険料の一部を所得控除として扱い、所得税や住民税を軽減できる制度です。
国が推奨する「自助努力」へのインセンティブとして機能しています。

しかし、この制度。
「控除があるから入っておいた方が得」とは限らないことを、きちんと理解していますか?


■控除の上限は意外と低い

現行の制度(新制度・平成24年以降の契約)では…

控除区分所得控除の上限額
一般生命保険料控除最大4万円
介護医療保険料控除最大4万円
個人年金保険料控除最大4万円
合計最大12万円

※支払額が一定額(各7〜8万円)を超えると、控除額はそれ以上増えません。


■実際にいくら税金が安くなるの?

ここからが本題です。

例えば、年収400万円の会社員が満額(12万円)で控除を受けた場合、
節税効果は以下の通りになります。

▷ 所得税(課税所得約250万円と仮定)

  • 所得税率:5%
  • 控除額:12万円
  • 節税効果:12万円 × 5% = 6,000円

▷ 住民税

  • 控除限度額:2.8万円(住民税用の別計算)
  • 税率:10%
  • 節税効果:2.8万円 × 10% = 2,800円

✅ 合計の節税額:約8,800円/年

いかがでしょうか?

毎月1〜3万円を支払うような貯蓄型保険に加入しても、年間の節税額はせいぜい1万円弱。
「控除があるから得」とは言いにくい数字です。


■なぜ国は民間保険に税制優遇を設けているのか?

この制度には2つの側面があります。

① 公的保障の補完としての役割

国の年金や遺族給付だけでは生活が成り立たない場合、民間保険が補完的役割を果たしてくれるため、ある程度の優遇は必要とされています。

② 保険業界との政治的背景

生命保険協会は強いロビー団体であり、保険業界の経済的影響力も大きい。控除制度は業界を支える仕組みにもなっています。


■「控除があるから加入」は本末転倒

貯蓄型保険をすすめられる際、「節税になりますよ」というトークは頻出です。
しかし実際には、節税メリットで損得を語れるような金額ではありません。


■本来の保険の意義を見直そう

筆者は、掛け捨ての生命保険には社会的使命があると考えています。
不幸にも一家の大黒柱が亡くなった際、遺された家族の暮らしを守る手段として、相互扶助の思想に基づいた保険は重要な存在です。

それに対して、貯蓄型保険は金融商品であり、保険会社の利益構造を支える商品
資産形成を目的とするなら、NISAやiDeCoなど、もっと効率的で柔軟な手段が存在します。


■まとめ:控除の「餌」につられないで

比較項目掛け捨て生命保険貯蓄型保険
必要性万一に備える本来の保険貯蓄+保険の金融商品
保険料安い(月数千円〜)高い(月1〜3万円)
節税効果最大でも年8,800円ほど同上(保険料に比して少)
解約時の柔軟性なし低い(元本割れも多い)

▼最後に一言

「節税になりますよ」は、保険営業の常套句。
でも実際の税制メリットは、保険料の高さに見合うほどのリターンではないのです。
制度のカラクリを知り、本当に必要な保障を見極めましょう。

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