これから医学部を目指す人、
子供に医学部を目指してほしいと考えている親、
医学部で学んでいる学生、
医者になって数年経過し将来を決めかねている人、
ただ興味がある人。
医師になって10数年経過し、現場から思うことを正直に書いていきます。
医学部を目指す理由
最近のネットニュースで医学部を目指す理由に関して記事が出ていました。
NEXER社がアンケート調査をし、305人から回答を得ています。
率直な感想としてはそんなもんだろうなと納得いくような印象です。
受験の面接や小論文対策として医学部を目指した理由を明確に答えられるようにしましょう
とありますが、
この質問は動機を問うているのではなくていかに準備してきた内容を話すことができるか
ということであり、
どちらかというと面接であればコミュニケーション能力を見ているのではないか
と思う節もあります。
まだ18歳そこそこの学生が多いわけですし、
多くの時間を学校で一生懸命に部活動や勉強に励んできたわけですから、
特別な体験・経験(ご家族や身近な人の療養や惜別)がなければ
上記アンケートのような理由となるのは当然かと思います。
自分はどうか?
自分も特別な理由はありませんでした。
「わかりやすく人の役に立つことができる職業だから」
身近に感じることができるのが医師であったからです。
実際の面接の時どう答えたのか、、、思い出せる範囲では、
- 目の前の人を助けたい
- 研究などを通して多くの人の役に立つ成果を上げたい
この2点に関して答えたような覚えがあります。
自分が面接官であったら、
どのような医師でありたいか、
という理想像・思いを表現し伝えてもらいたいと思います。
学生時代に同級生を見ていて思ったこと
当たり前ですが、医学部生時代に思っていたのは皆、頭が良いということ。
思い返すと、いいプライドがあって、適度な思いやりがあって、純粋な大学生という印象です。
みんなないい人です。
高校生活の延長のように、部活や勉強、人によってはアルバイトに精を出している人もいました。
至って普通の大学生のように過ごしていますが、
ここ1番の集中力は皆飛び抜けたものがあるという印象でした。
働いてから思うこと
働いてから思うことは、
「みんなどういう思いで医師になったのだろうか」ということです。
一般的には興味のある診療科があり、
専門医制度があり、
その資格取得を近い目標に据えて
一人前の医師を目指して日々研鑽するという進路を歩む方が大多数です。
専門医を取得してからは人それぞれの思いや適正にあった道を選択しないとなりません。
- 地域の中核病院の勤務医
- 開業医
- 大学などの教育機関での研究や教育活動
さらに道を極める大學などの教育・研究機関に残るか、
地域医療への貢献のために開業医や勤務医を続けていくことが多いと思います。
どちらに優劣があるわけではなく、それは個人の思いの強さや適性によると思います。
最近は2年間の初期研修医を修了してすぐに美容・自由診療の道に進む若い人も増えてきています。
一般的大多数が選択する進路より診療内容も楽で年収も2〜4倍ほど高い上に、
時間も倍以上自由がきくような別世界です。
そのような分野を否定しているのではなく、
最初からそのような道を歩むことに不安を感じないのか疑問を抱きます。
別にその医師がそれだけができることで満足ならばそれで良いと思います。
同級生が漏らしていた不満
自分の同級生が、病院を異動するという話を聞きました。
たまたま本人と直接会って、
その理由が彼の指導がパワハラに当たると後輩に訴えられたからだそうです。
長い付き合いで人柄も知っていますから、
熱い人柄・思いやりのある優しい人柄であることは間違い無いのですが、
どうやらそれが煙たがれたようです。
年寄りの戯言、最近の若い奴は、的な発言と思われても仕方ないのですが、
その同級生が言うには、
知識や技術がないのは気にならないけど、態度が悪かったり、
プライドを持っていないことが嫌いでそれをすぐ口に出してしまうようです。
わかるよ、それ(泣)。
なんでしょう。
今の時代は自分らが医師になった時よりもたくさんの選択肢があるように思いますし、
これまでの人たちの足取りもよく見えるので、
自らが開拓していかなくても【調べればすぐわかる】ことが多いです。
それは進路においても、日々の学習においてもです。
これまでに先人達が積み重ねてきた経験と知識があるので
これからの人たちはより短い時間で技術や知識を習得していくことが可能です。
ただし、時間をかけて得られる経験、実際に経験したことでしか得られない勘の大事さがあるのですがそれが蔑ろになっているような気がします。
そして過労死が取り上げられたり、
働き方改革でこれらの経験を積むための時間はより少なくなるでしょう。
自己研鑽とタダ働きを推奨しているわけではありません。
個人が自分にあった働き方とそのバランスの取り方を見つけることが大事だと思います。
そして後輩を見て思うのですが、
好きな分野に携わっている人はよく努力し、とても伸びているということです。
こういう人にはあっという間に置き去りにされてしまいます。
そうでもない後輩、やる気のない学生を見ていると
そもそも医学部を目指した【初心】がなんだったのであろうか?と疑問に思います。
初心忘るるべからず、なのですがそもそもあまり初心がない人がいるのも事実です。
自分の場合の初心は、人に感謝してもらえるとなんだか嬉しい、です。
それがモチベーションです。
今後はどうなっていくんでしょうか
さてこれから医学部を目指す人たちにはできるアドバイスとして
試験用の医学部を目指す理由ではなくて、
医師になる本当の理由とプライドが必要だと思います。
医者になってからの方が大変ですし、なってからの態度により実力にとても差がつくと思います。
医学部に年間8000人ほど入学します(2024年度は9403名だそうです)。
そして出生数が80万人を切りました。
極端な医学部定員数の抑制がなければ100人に1人が医師になれる時代です。
特別な職業でもなくなるでしょう。
多くの医師にとっての給与の財源は税金です。
国の人口が減っていきます。
財源も減ります。
まずは人件費が削られるかもしれません。
給料もどんどん下がるかもしれません。
そんな簡単な話ではないとは思いますが。
医師になったらもう安心・安泰?
自分の身を守るためだけにあるそういう類の職業ではないのでしょうか。
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