はじめに
この記事は、以下のような方に向けて書いています。
- これから医学部を目指す高校生や予備校生
- 子どもに医学部を目指してほしいと考えている保護者
- 医学部で学んでいる現役学生
- 医師になって数年経ち、進路に悩んでいる若手医師
- 医療の世界に興味があるすべての人
医師になって10数年、現場で感じたことを正直に綴っていきます。
医学部を目指す理由って何?

最近、あるネットニュースで「医学部を目指した理由」に関するアンケート結果が紹介されていました(NEXER社調査、回答者305人)。
医学部を目指した理由(上位)
- 親が医者だから:23.3%
- 多くの患者を救いたい:21.3%
- 学業の成績が良かったから:14.1%
- 医者という存在に憧れて:12.1%
率直に言って「まあ、そうだろうな」という感想です。
「医学部を目指す理由は小論文や面接で問われる」とよく言われますが、正直これは**動機の純度より“準備の質”**を見られている場合が多いと感じます。
多くの受験生は18歳前後。人生経験もそれほど多くはない中で、「人を救いたい」「身内が病気で…」などドラマチックな背景がないとダメだと感じるかもしれませんが、そんな必要はありません。
僕の場合の志望動機

僕自身も、正直特別なきっかけがあったわけではありません。
- 「わかりやすく人の役に立てる職業」だから
- 「身近に感じた職業」が医師だったから
たしか、面接ではこう答えました。
「目の前の人を助けたい」
「研究を通して多くの人に貢献したい」
その程度です。今振り返って思うのは、「どんな医師になりたいか」というビジョンを語れることが大事だったんじゃないかということです。
医学部生時代を振り返って

医学部に入って感じたのは、みんな頭が良いし、いい人ばかりだったということ。
- プライドを持っている
- 思いやりがある
- 勉強や部活、アルバイトに全力
- 集中力はハンパじゃない
いわゆる「天才肌」だけじゃなくて、地道に努力する人も多かったですね。
医師として働く中で思うこと

医師として働き始めてから、ふと考えるようになりました。
「みんな、どういう気持ちで医師になったんだろう?」と。
多くの人がまずは専門医を目指して、そこから進路を考えます。
- 地域の中核病院で勤務医を続ける
- 開業して地域医療に貢献する
- 大学に残って研究・教育に進む
それぞれの道に優劣はなく、「自分がどう生きたいか」を見つめ続けることが大事です。
美容や自由診療へ進む若い医師たち

最近では初期研修を終えてすぐに美容外科や自由診療へ進む医師も増えています。
- 年収は高く、生活の自由度も高い
- 医療訴訟のリスクが少ない
- 働き方が柔軟で、ストレスも少ない
否定する気はありません。でも僕個人としては、
「最初からその道に不安はないのかな?」と疑問を感じます。
ある同級生の“本音”

ある同級生が、病院を異動するという話を聞きました。
理由は「パワハラだと訴えられたから」だそうです。
その人をよく知る僕からすれば、思いやりがあり、熱く、真面目な人。
だけど、後輩に対して「プライドを持ってないのが嫌い」と言ってしまう彼の言葉に、僕は少し共感してしまいました。
「知識や技術がないことより、態度や心構えの方が気になる」って、医療に携わる者としてすごく大事な感覚だと思います。
今は“選べる時代”でもある

今の若い医学生や若手医師は、本当に選択肢が多い時代に生きています。
- キャリアもすぐ検索できる
- 勉強法もネットで手に入る
- 研修病院の情報も山ほどある
ただ、**時間をかけて得る「勘」や「感覚」**が軽視されがちな気がしています。
初心を忘れずに

僕の医師としての初心はこうです。
「人に感謝されると嬉しい」
それが僕のモチベーションです。
医学部を目指す人に言いたいのは、
「試験対策用の理由じゃなくて、自分の“本当の理由”を持ってほしい」ということ。
これから医師を目指す人へ

医学部に年間8000人以上が入学しています(2024年度は9403名)。
出生数が80万人を切った今、100人に1人が医師になる時代です。
医師は特別な職業ではなくなりつつあります。
- 給与の財源は税金
- 人口が減れば財源も減る
- 給料だって下がっていく可能性がある
お金が全てではないですが、それだってもう保証されない世界線がすぐそこかもしれません。
だからこそ、本物のプライドと信念を持った医師がこれからは求められます。
まとめ
- 医学部を目指す理由に“正解”はない
- でも「自分だけの理由」を探す努力は必要
- 医師になってからの方が、よほど自分が問われる
- プライド・初心・感謝が、医師としての軸になる
あなたに問いかけたい
あなたが「医師を目指す理由」は何ですか?
その理由は、10年後のあなたを支えられますか?
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