土地選び――それは、注文住宅を考える中で最も夢が広がる瞬間であり、最も深い後悔につながりやすいポイントでもあります。駅近、日当たり、価格、将来性……考えるべき要素は山ほどありますが、そもそも「土地探しから始める」という順番自体に落とし穴があるのです。

私は、土地を探す前にやっておくべき大切なことが3つあると考えています。それは“家を建てる”という本質を見失わないための準備であり、将来の自分たちを守るための知恵でもあります。
どんな人に向けた記事か
- 注文住宅を考え始めたばかりの人
- 何から始めていいか迷っている人
- 土地選びで後悔したくない人
- 家づくりに関わるお金の知識に不安がある人
- 将来の生活をしっかり設計したいと考える人
土地を探す前に「工務店」を見つけよう
家を建てるプロは工務店
多くの人は「気に入った土地が見つかったら、次に工務店を探そう」と考えます。しかし、これは順序として逆なのです。なぜなら、土地というのは“家を建てるための土台”にすぎず、その上にどんな家を建てられるかは、我々素人にはわからないからです。
日当たりの取り方、風通し、建ぺい率、斜線制限、周辺環境…。それらを読み解き、そこに最適な間取りを描けるのは、経験豊富な工務店や建築士だけです。土地選びからプロと一緒に行うことで、「この土地に理想の家は建たない」という失敗を避けられるのです。
住宅ローンの前に「ライフプラン」を描こう
「借りられる金額」と「返せる金額」は違う

銀行や住宅営業の多くは、できるだけ多く借りさせようとします。信用がある職業の人ほど、その傾向は顕著です。なぜなら、銀行は「信用創造」によって利益を生み出す仕組みだからです。つまり、私たちが多くローンを組むほど、彼らの利益になるのです。
しかし、住宅ローンは“未来の自分への契約”です。ライフプランを立て、将来の収支、子どもの教育、老後資金まで視野に入れた上で、「自分たちが無理なく返せる金額」を知ることが先決です。
そのためには、信頼できる有料のファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのが望ましいでしょう。無料のFP相談では、不要な保険を売りつけられることもあります。時間と知識に対して報酬を払うという当たり前の感覚を持つことが、家づくりのファーストステップとも言えます。
あえて「考えない余白」を持つこと
家を建てるという行為には、情報と選択が無限に付きまといます。その中で、「まだ決まっていないこと」「悩んでいること」があってもいいのだと思います。
焦って答えを出すより、「自分たちは何を大切にしたいのか」「どんな暮らしがしたいのか」と、感覚的なことを夫婦や家族で共有する時間こそが、土地選びにおける最大の準備かもしれません。
家づくりは、“設計”という言葉に惑わされがちですが、本質は「生活の器を選ぶこと」です。ならば、人生設計そのものに少し立ち止まって向き合う時間も、大切な“準備”のひとつだと思うのです。

まとめ:順番を間違えなければ、家づくりはもっと楽になる
土地探し、間取り、住宅ローン――それらはすべて、表面的な要素です。本当に大事なのは、その前に「誰と家を建てるか」「どんな人生を描くか」「どこに余白を持つか」を考えることなのです。
この順番を守るだけで、土地選びは“選ばされるもの”ではなく、“選び取るもの”に変わります。そしてその選択は、きっと後悔の少ない人生の礎となってくれるはずです。

FAQ
Q1. 土地を先に買うのは間違いですか?
A1. 間違いではありませんが、家を建てる工務店と先に相談することで、より適した土地選びが可能になります。
Q2. なぜ工務店を先に決めた方がいいのですか?
A2. 土地の条件に合った家を建てられるかどうかを、プロの視点で判断してもらえるためです。
Q3. 無料のファイナンシャルプランナーは利用すべきですか?
A3. 無料相談には保険販売などの意図がある場合があるため、有料相談の方が中立性が高いと言えます。
Q4. ライフプランに合ったローンとは?
A4. 将来の教育費や老後資金などを踏まえ、無理なく返済できる金額で設計されたローンです。
Q5. 家づくりにおいて“余白”とは何ですか?
A5. 完璧を求めすぎず、将来の変化に対応できる柔軟性や、考える時間を残す姿勢を指します。
コメント