多くの人が「マイホームは人生最大の買い物」と言います。そして国もそれを後押しするように、住宅ローン減税という形で、税金の優遇をしています。
しかし、よく考えてみてください。
なぜ国は、わざわざ税金を減らしてまで住宅購入を推奨するのでしょうか?
あなたの幸せのため? それとも、経済を動かすため?
私は、住宅ローンという仕組みそのものが、国家規模の“信用創造装置”であり、個人の人生を担保にした経済循環の歯車だと感じています。
銀行は預金を貸しているのではない

私たちはつい、
「銀行は預金者から集めたお金を、住宅購入希望者に貸している」
と思いがちですが、これは実態と大きく異なります。
実際は、銀行があなたに3000万円の住宅ローンを貸すとき、それは通帳上に新たなお金を“生み出している”のです。これがいわゆる信用創造。
つまり、銀行は元手がほぼゼロの状態でお金を作り、利息付きであなたに貸しているということになります。
この仕組みが成り立つのは、あなたの未来の労働力が、“確実に返済できる”信用力として評価されているからです。
住宅ローンは「家を買っている」のではなく、「あなたの労働力を売っている」

ここで視点を逆転させてみましょう。
- 家を買ったつもりが、
- 実は銀行に**「未来のあなたの労働力」**を売っていた。
この見方をすると、住宅ローンという制度の意味がガラリと変わってきます。
銀行にとって住宅ローンとは、
「元手ゼロで労働力を確保し、35年という長期にわたって安定した利息を回収できる最高の商品」なのです。
しかも、日本の住宅ローン破綻率は1%未満(※)と非常に低く、ほぼ確実に返ってくる。
※金融庁・住宅金融支援機構の統計より:延滞率0.3〜0.5%、競売件数ベースで約0.1〜0.2%
つまり、貸したお金がほぼ全額返ってくるのに加え、利息まで取れるというわけです。そして貸すための実質資産の裏付けは不要ということです。
こんなビジネス、他にあるでしょうか?
銀行が破綻する理由とは?

じゃあそんな“ボロい商売”をしている銀行がなぜ潰れることがあるのか?
答えは簡単です:
- 貸したお金が返ってこなかった(焦げ付き)
- 預金者が一気にお金を引き出した(取り付け騒ぎ)
- 市場金利が急上昇し、利鞘が逆転した(逆ザヤ)
このように、銀行は信用という砂上の楼閣の上に成り立っているビジネスでもあります。
だからこそ、「信用を失ったら一巻の終わり」なのです。
国が住宅購入を推奨する本当の理由

では、なぜ国はここまで住宅ローンを優遇するのか?
それは以下のような経済的な仕組みのためです。
- 建設業・不動産業を活性化(GDP押上げ)
- 銀行の融資先を増やす(信用創造の促進)
- 国民に長期のローンを抱えさせ、働かざるを得ない状態をつくる
- 固定資産税などで継続的な税収が得られる
つまり、住宅ローンは「個人の幸せのため」だけでなく、国家経済の循環装置として設計されているとも言えるのです。
まとめ:誰が誰を買っているのか?

あなたが家を買ったつもりでも、
銀行はあなたの未来の人生を買っている。
そしてその仕組みに乗るかどうかは、
一人ひとりが「この社会でどう生きるか」を考えるきっかけにもなります。
最後に問いかけたいこと
銀行は本当に「庶民の味方」なのか?
それとも「労働と人生を金利付きで刈り取る装置」なのか?どちらでもあるとは思いますが、個人的には「装置」だと思います。
ただし、この仕組みで儲けている銀行を悪だと言っているわけではありません。そういう仕組みで我々の経済や金融が成り立っていることを理解することの大事さを知って欲しいのです。住宅ローンという身近ですが、とても大きな契約をもとにそのようなことに気づけると人生はより面白く思慮深くなるかもしれません。
何度でも言いますが、世の中には常に2面性があります。住宅ローンに関しては自分も利用しています。利用しなければ今の生活をよりよくすることはできませんでした。資金力のない弱い者、多くの国民はこのように社会の仕組みに組み込まれて生きるしかありません。
持ちつ持たれつの2面性なのかもしれません。
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