2025年に入ってから日経平均株価は一時的な調整を経ながらも、堅調に推移しています。その背景には、一部の大型企業による自社株買いの積極化があり、いわば「地固め」の動きが進んでいるとも言えます。
今回は、直近で大規模な自社株買いを発表した高配当銘柄を中心に、誰が今株価の下支えをしているのか?そして、これから誰が新たに資金を投入してくるのか?を読み解いていきます。

■ この記事はこんな方におすすめ
- 株式投資をしていて今後の地合いを見極めたい方
- 高配当株投資を実践中の方
- 自社株買いと株価の関係に注目している方
- 日経平均の底堅さの理由を知りたい方
■ カップウィズハンドルと「地固め」の関係

株価チャートの定番パターン「カップウィズハンドル」は、調整後の反発の力強さを測るうえで重要です。ただし、形だけではなく、その裏にある**「誰が買って、誰が売っていないか」**という構造の理解が必要不可欠です。
「ハンドル」部分で起こっているのは、単なる調整ではなく、地固めです。そしてその地固めには、実際に資金を投入している“中の人”たちの動きが表れます。
■ 自社株買いが「地固め」になる理由

企業による自社株買いは、以下のような株価の下支え効果があります。
- 株数が減少することで1株あたり利益(EPS)が上昇
- 株式需給が引き締まり、株価のベースラインが上昇
- 株主還元としての安心感から個人投資家の信頼感向上
つまり、自社株買いは一時的な株価対策というよりも、中長期での株価を支える構造的な安定装置となり得るのです。
■ 直近で自社株買いを発表した銘柄の例

● 三菱商事(8058)
- 自社株買い額:最大1兆円(発行済株数の約17%)
- 2025年4月発表、2026年3月末まで取得予定
- TOB形式での株取得も含む
- 6月時点で1.2億株取得済、平均2,426円
- 配当も増配予定:1株あたり100円→110円
▶︎ 市場全体の安心感を演出する“象徴的な買い”
● キユーピー(2809)
- 7月発表、960万株・240億円の自社株買い(約6.91%)
- 期間:2025年7月~2026年5月末
- 安定業績+高配当で堅実な資産形成層に人気
● クスリのアオキHD(3549)
- 600万株・220億円上限の自社株買い(約5.96%)
- ドラッグストア業界の再編を背景に、今後も買収や再評価の動きが注目される
● その他の銘柄
- アイカ工業(4206):3.58%、60億円の自社株買い(5月)
- JVCケンウッド(6632)、DTS(9682):5月に発表
- 保険系(MS&AD・SOMPOなど):増配+自社株買いのダブル還元
■ 今後、誰が買ってくるのか?

地固めを終えたあとのフェーズでは、次のような投資主体の流入が想定されます。
投資主体 | 主なタイミング | 期待される行動 |
---|---|---|
個人投資家(NISA層) | 地合い改善後・決算発表後 | 増配・利回り狙いで資金流入 |
海外勢(機関投資家) | 日経平均の安定後 | 安定成長&通貨分散目的で流入 |
自社株買い継続企業 | 下落局面・調整局面 | 株価支援のため継続的に買い |
■ 結論:ベースラインの上昇と「売られにくい構造」
自社株買いにより株数が減る=需給が引き締まるということは、暴落局面でも大量売却リスクが減るという見方ができます。特に三菱商事のような巨大銘柄の自社株買いは、指数そのものの安定にも寄与します。
つまり今は、「下値を拾って地固めし、ベースラインを上げた」フェーズ。
今後の上昇には、新たな資金(特に個人・海外勢)の流入が鍵を握るでしょう。
一つの考え方、読みとしてご参考までに。
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