資産運用に興味のある方なら、現金だけで資産を持っておくのは良くないという話を聞いたことがあると思います。
現金だけを持つことがどれだけ損をしているのか?を具体的な数値とともに見ていきましょう。
今回は、GOLDの視点から現金(円とドル)、株式の指数(みんな大好きSP500)を比較してみたいと思います。
余談ですが、僕はB’zの稲葉さんのソロ作品が好きです。物事の二面性を色々と考えていると必ず「Wonderland」の世界観を思い出します。
「OH la la la
裏返しの世界をご覧なさい
勇気があるなら
影は光に
醜さは美しさに
パッと変わる Wonderland」

それでは、裏返しの世界を見ていきましょう。
〜ゴールドを物差しにすると、世界の見え方が変わる〜
「投資は怖いし、現金で持っておくのが一番安心。」
気持ちはすごくわかります。
僕も昔はそうでした。

ただ最近、ゴールド(=金)に興味が出てきました。
(持っていないですけど)
理由はシンプルで、ゴールドを“物差し”にすると、現金の弱点が見えすぎてしまうからです。
株価は上がった、経済は成長した。
ニュースもSNSも、だいたいドル建ての世界で語ります。
でも、ちょっとだけ視点を変えてみる。
「ドル」じゃなくて、「金」で世界を測ってみる。
…すると、同じ世界なのに、景色が変わるんですよね。

2005 / 2015 / 2025:金1オンスを手に入れるために必要だったもの
たとえば、同じゴールド1オンス(約31.1g)を手に入れるために必要だった「ドル」は、こう変わりました。
- 2005年ごろ:だいたい $500前後
- 2015年ごろ:だいたい $1,000前後
- 2025年ごろ:だいたい $4,000超
(年末近傍のデータを使っています)(statmuse.com)

これ、地味に怖い話です。
同じ“金1オンス”という現物を買うのに、必要なドルが8倍以上になった。
裏返せば、ドルの“金に対する購買力”は、だいたい1/8くらいになったということ。
「現金は安心」と思って持ち続けていたら、
気づかないうちに“物差しの方”が縮んでいる。
こういう現象が、静かに進むのが怖いんです。
「ドルで見れば右肩上がり」でも、金で見ると別の話になる
よく言われる通り、S&P500は長期で見ると強いです。
実際、S&P500(価格指数)は2005→2025でおおよそ 5倍強になっています。(ycharts.com)

でも、ここで一つだけ注意。
S&P500には「配当」があります。
株は“持ってるだけで何も生まない箱”じゃなくて、
キャッシュフローが生まれる資産でもある。
だから、よりフェアに見るなら 配当込み(トータルリターン) で見るべきです。
で、配当を再投資した前提で2005→2025を計算すると、
S&P500は 約8倍になります。(slickcharts.com)
ここが面白いところで、
- ゴールド(ドル建て):約 8.3倍
- 配当込みS&P500:約 8.1倍
…ほぼ拮抗します。(statmuse.com)
つまり、結論はこう。
「株は金に負けた」ではなく、
「現金が薄まる世界で、株も金も“現金以外の保管場所”として機能してきた」
これが、ゴールド視点で世界を見ると見えてくる骨格です。

円で見ると、もっとはっきりする。
同じゴールド1オンスを買うのに必要な「円」を見てみます。
(ドル建て金価格と、ドル円の年平均を掛けた概算です)
| 年 | 金1oz(USD) | ドル円(年平均) | 金1oz(円換算) |
|---|---|---|---|
| 2005 | 517.60 | 110.1069 | 約56,991円 |
| 2015 | 1,061.30 | 121.0491 | 約128,469円 |
| 2025 | 4,315.13 | 149.5686 | 約645,408円 |
これ、冷静に読むと結構エグくて、
2005→2025で「金1オンス=約5.7万円→約64.5万円」。
円から見れば、金に対する円の購買力は約1/11になった計算です。
もちろんこれは「明日から円が紙くず」みたいな話ではありません。
でも少なくとも、
「円を握り続ける=価値が勝手に保たれる」
という前提は、かなり危うい。
現金は「何もしない強さ」がある。だけど「何もしない弱さ」もある。
現金の良さは、いつでも使えること。
生活防衛資金としての現金は、誰にとっても必要です。
でも現金は、何もしないでいると、価値が薄まるリスクを一身に背負う。
これは精神論じゃなくて、仕組みの話。

現代の通貨は金本位制ではなく、信用に基づく貨幣。
信用貨幣は、経済の成長と拡張と相性が良い。
だから長期で見ると、「現金の価値が薄まる方向」に圧力がかかりやすい。

もちろん短期ではデフレ局面もある。引き締めもある。
でも構造として、現金の“希薄化リスク”は消えない。
その結果、
- 「現金を持ちすぎるのはリスク」
- 「株やオルカンやS&P500が推される」
という流れが生まれるわけです。
「新NISAは陰謀だ」みたいな話も、わからなくはない
SNSでは「新NISAは政府の罠」みたいな話もあります。
たとえば、
- 金融所得課税の強化への布石
- 相続時には課税される
- 日本の眠れる資産を市場に誘導したい
こういう見立ては、ゼロではない。
国の都合として“あり得る”面はあると思います。

でも僕の結論はシンプルです。
知っていれば対策できる。
そしてそれは、ほとんどの人に同じように降りかかる。
(抜け道を使える特権階級がいない、とは言いませんが。)
だから陰謀論で止まるより、
「じゃあ自分はどうする?」に落とした方が強い。
資産の“保管場所”はたくさんある。だから分配で勝ち負けが生まれる
現金が薄まる世界で、人はどこに逃がすか。
- 株
- 不動産
- ゴールド
- コモディティ
- 仮想通貨
保管場所はたくさんある。
だからこそ資金の“分配”が変わり、勝つ人と負ける人が出る。

ここで大事なのは、
「ゴールドを買えば勝てる」という短絡ではない。
ゴールドは確かに、現金の薄まりを映す鏡になり得る。
でも、ゴールドも万能ではない。
買うなら慎重でいい。
それでも株式が人生にとって大事だと思う理由:配当は「未来だけに賭けない」から
ここが僕の感覚の話です。
ゴールドは、基本的に売らないとお金にならない。
でも株には配当がある。
つまり株は、未来の値上がりを待つだけの資産じゃなくて、
今この瞬間にもキャッシュフローが生まれる可能性がある。
この「心理的な余裕」は、けっこう大きい。
資金効率だけなら、過去を切り取れば金が勝つ時期もある。
でも人生は、効率だけじゃ測れない。
Die with Zero の感覚で言えば、
“増やす”だけじゃなく“使う”も人生の一部。

配当は、その「使う」の回路を壊さない。
だから僕は、株式は人生にとってバランスのいい役割を果たすと思っています。
結論:現金が危ういのは、あなたが悪いからじゃない。仕組みがそうなっている。
現金は必要。
でも現金だけは危うい。
ゴールドを物差しにすると、
“現金が少しずつ薄まる”という現代の仕組みが、数字で見えてしまう。
僕らにできることは、たぶん3つだけ。
- 現金を安全資産だと決めつけない(薄まるリスクを知る)
- 資産を持つ(現金以外の保管場所を持つ)
- 自分の価値を落とさない(仕事・スキル・信用のアップデート)
インフレの世界線に入ってきた今、
「資産を持つ」という行為は、贅沢ではなく防具に近いのかもしれません。



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