本質を考える医師です

おのれ
ROEと自己資本比率を重要指標として挙げられていました。それぞれの単語の意味と、どうして重要視すべき指数なのかをわかりやすく教えてください

グロッキー
ROE(自己資本利益率)と自己資本比率は、高配当株投資を含む株式投資において、企業の収益性と財務健全性を評価する重要な指標です。以下では、それぞれの単語の意味と、なぜこれらが重要視されるのかを初心者にもわかりやすく説明します。
1. ROE(自己資本利益率)
(1) 意味
- ROEとは:「Return on Equity」の略で、企業が株主の投資したお金(自己資本)を使って、どれだけの利益を生み出したかを示す指標です。
- 計算式:
以下
- 当期純利益:企業が1年間で最終的に稼いだ利益(税金などを差し引いた後)。
- 自己資本:株主が出資した資本や過去の利益の積み立て(純資産の一部)。
- 例:自己資本100億円で当期純利益10億円なら、ROEは10%(10 ÷ 100 × 100)。

(2) なぜ重要か
- 収益性のバロメーター:
- ROEが高いほど、企業が株主のお金を効率的に使って利益を上げていることを意味します。例:ROE20%の企業は、100円の自己資本で20円の利益を生む「効率の良い会社」。
- 高配当株投資では、ROEが高い企業は利益を安定的に稼ぐ力があり、配当を維持・増やす可能性が高いです。
- 投資の魅力:
- ROE8%以上(日本の上場企業平均は約8-10%)は、市場平均以上の収益力を持つ目安。例:前述の日本たばこ産業(ROE15%)は、効率的に利益を出し、配当余力を確保。
- 低ROE(例:3%)の企業は、資本を有効活用できず、配当の持続性や株価成長が弱いリスクがあります。
- 長期保有との関連:
- ROEが安定して高い企業は、景気変動でも利益を維持しやすく、長期保有向き。例:アステラス製薬(ROE12%)は新薬開発で収益を維持し、14期連続増配。
- ただし、ROEが高すぎる(例:30%超)場合、借金(レバレッジ)で利益を水増ししている可能性もあるので、自己資本比率と併せてチェックが必要です。
(3) 注意点
- ROEは単年だけでなく、5-10年の推移を見て安定性を確認。例:金融危機(2008年)でROEが急落した銀行株はリスク要因。
- 業界によって平均ROEが異なる(例:製造業10%、公益5-8%)。セクター平均と比較して評価。
2. 自己資本比率
(1) 意味
- 自己資本比率とは:企業の総資産のうち、株主の出資や利益の積み立て(自己資本)が占める割合を示す指標。企業の「借金依存度」を測る財務健全性の目安です。
- 計算式:
以下
- 自己資本:株主資本+利益剰余金など(返済不要の資金)。
- 総資産:企業が持つ資産の合計(現金、工場、借金含む)。
- 例:総資産1000億円、自己資本400億円なら、自己資本比率は40%(400 ÷ 1000 × 100)。
- イメージ:
- 自己資本比率が高い(例:70%):借金が少なく、自己資金で運営する「体力のある会社」。
- 自己資本比率が低い(例:20%):借金依存度が高く、返済負担が重い「リスクの高い会社」。

(2) なぜ重要か
- 財務の安定性:
- 自己資本比率が高い企業は、借金が少なく、景気後退や金利上昇でも倒産リスクが低い。例:日本たばこ産業(自己資本比率60%超)は、安定したキャッシュフローで配当を維持。
- 高配当株投資では、配当を長期間支払う「体力」が求められるため、自己資本比率40%以上が一つの目安(日本企業の平均は約40-50%)。
- 景気耐性:
- 景気敏感株(例:金融、海運)は、景気後退で収益が落ちると借金返済が難しくなる。自己資本比率が高い企業は、こうした環境でも配当を維持しやすい。例:東京ガス(自己資本比率55%)は公益事業で安定。
- 前述の商船三井(自己資本比率50%)は海運だが、財務健全性が高く、2024年の高配当を支えた。
- 長期保有との関連:
- 自己資本比率が高い企業は、外部環境(例:2025年のトランプ関税や円高)の影響を受けにくく、長期保有の安心感が高い。例:花王(自己資本比率60%)は35期連続増配を支える財務基盤。
- 逆に、低い自己資本比率(例:20%)の企業は、金利上昇(2025年予想1.5%)で利息負担が増え、配当削減リスクが上昇。
(3) 注意点
- 自己資本比率が高すぎる(例:80%超)場合、借金を使わず成長機会を逃している可能性。ROEが低くなる傾向(例:公益事業)。
- 業界差が大きい(例:金融20-30%、製造業50-60%)。セクター平均と比較して評価。
- 自己資本比率は「借金の少なさ」を示すが、キャッシュフローや負債の種類(短期・長期)も確認が必要。

おのれ
長いので、その2に続きます
なぜ高配当株投資ではROEと自己資本比率が大事なのか?を解説します
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