本質を考える医師です
前回は加工肉・赤肉とがんの関係に関して考察しました
その原因として、環境ホルモンを代表とする環境汚染物質は無視できないものだと考えられます
ただし、一部の企業にとってはそれはあまり触れてほしくない事実であることは確かで、彼らの主張は「これらの物質が一般消費者に触れる量は動物に触れる量の百分の一でしかない」です
さて、本当にそのような考え方で問題ないでしょうか?
農薬や化学物質の環境中での影響
農薬や化学肥料に含まれる窒素やリンは、農作物に吸収される割合が低く、残りは土壌を通じて河川や湖沼、海洋に流出します。これにより、水質汚染や赤潮の発生などの環境問題が引き起こされます。
また、農薬の水系への流出率はその溶解度と相関があり、水田、河川、湖沼水の農薬による汚染は使用時期をピークとする一過性であることが報告されています。
一般消費者への影響
農薬や化学物質を扱う企業は、一般消費者がこれらの物質に触れる量は動物に比べて非常に少ないと主張しています。しかし、実際には農薬が環境中に広く拡散し、水質汚染を引き起こしていることが報告されています。
さらに、農薬の魚介類に対する毒性が指摘されており、これらを摂取することで間接的に人間も影響を受ける可能性があります。 これらの事実から、一般消費者が農薬や化学物質にさらされるリスクは、企業の主張よりも高い可能性があると考えられます。
複合的な曝露のリスク
さらに、私たちは日常生活の中で、農薬以外にも洗剤や染料など、さまざまな化学物質にさらされています。これらの物質が複合的に作用することで、健康への影響が増幅される可能性があります。特に、環境ホルモンと呼ばれる内分泌かく乱物質は、微量でも生体に影響を及ぼすことが示唆されています。
したがって、個々の物質の曝露量が少なくても、複数の物質に同時にさらされることで、予期しない健康リスクが生じる可能性があります。
まとめ
農薬や化学物質の環境中での拡散とその影響についての証拠は多数存在します。これらの事実を踏まえると、企業の主張する「一般消費者の曝露量は動物の百分の一」という見解は、複合的な曝露や環境中での拡散を考慮すると、過小評価されている可能性があります。
私たちの健康を守るためには、これらのリスクを総合的に評価し、適切な対策を講じることが重要です。
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