" /> 女性の活躍できる社会と男女平等 | おのれの緒  〜い・しょく・じゅう〜 

【育】女性の活躍できる社会

’い’ 生きるヒント
こどもたちの教育

 

 本質を考える医師です。

 よく、「女性が活躍できる社会を」という言葉を聞きます。どこか違和感を感じる文言だなと思います。本来は女性の活躍できる社会というのは、女性が能力に応じて出世できるとか、働ける環境を整えるとか、そういうことではないと思います。

 そのような考えには潜在的に、女性も社会に出て働きなさい、家事よりも仕事の方が価値があるという押し付けがあるように思います。

未だにこんなこと言う教授がおるんやな

 後輩男性医師が女医さんと結婚した時のことです。もう8年くらい前の話です。女医さんは内科の医局に所属していました。結婚したことを教授に報告しにいくと「こどもを生まれちゃ、人手がいなくて困るんだから・・・」みたいなことを言われたようです。

 すごいハラスメントですが、そんな考えの人がトップにいるとなるとまあ人手不足になって然りですよね。

医局人事を担当して思ったこと

 医局において、医師の異動・人事の権限を持って女医さんの人事や働き方に関して課題にしたことは、「お母さん女医さんたちが申し訳なく思っている気持ちを如何に少なくしてあげるか」です。医師も女医さんが増えて働き手が少なくなって、など問題視されることがあります。

 確かに、妊娠出産、産休育休で穴が開くと、そこに代わりの医師を派遣したりしなければなりません。急遽、異動してもらう医師や人手不足になる現場にはいつも申し訳なく思っています。自分がそう思っているんだから、当の本人たちはもっとそう思っていると察します。

 女医さんたちは本当に申し訳なさそうにしていますが、自分としては日本人を1人増やしてくれてありがとう、ぜひ、その子を立派に育てて日本をよくする人材にしてくれ、と思います。自分が携わっている仕事が大変になるかとか狭い視野でなく、もっと大きな視野や視点で持って解釈することが大事だと思います。自分が大変になるから、と言う理由で不機嫌になっているとしたらまだまだ修行が足りていないです。そう考えると広い意味で子育てに貢献している!と思っています。

 産休育休に送り出した女医さんたちも、絶賛、育児奮闘中の女医さんたちも、適材適所でタスクを与えれば気持ちよく「活躍」してくれています。なんとも頼もしい限りです。

 男性よりも気配りのできる女性、女性医師が気持ちよく働ける環境は、看護師さんなど他の職種の人も気持ちよく働くことができ、最終的にその良い循環は患者さんに還元されます。ギスギスした病院なんて受診したくないですよね。質の高い医療にはそのような「心」も欠かせません

 先ほどの広い意見を述べていたような教授・上司は考え方も古いし、視野が狭いと思います。確かに人のやりくりが大変なのはわかりますが、本人に言わなくても良いでしょう。事実と感情は違います。

もっと広い意味で

 女性が活躍できる社会という言葉は、しばしば女性が仕事で成功できる環境として解釈されがちですが、本来の意味はもっと広いはずです。

 男女には生物学的な違いや、それに基づく得意分野の違いがあります。それを差別として捉えるのではなく適材適所として活かしていくことが大切だと思います。男性が外で働くことが歴史的に多かったのは、筋力や危険への耐性が影響している面もあるでしょうし、女性が家事や育児を担ってきたのも、生命を育む能力や細やかな気配りの力が関係しているかもしれません。

 そう考えると、「女性が活躍できる社会」とは、必ずしても「男性と同じ土俵で競争すること」ではなく、女性が女性らしさを活かしながら、自分らしく生きられる社会ということになると思います。仕事であれ家庭であれあるいはその両方であれ、「こうしなければならない」と強制されるのではなく、自分の価値観や適性に応じて選択できることが本当の意味での活躍ではなかろうかと。

 ただし、現代社会では「女性はこうあるべき」「男性はこうあるべき」といった固定観念が強すぎることもあるので、それを少しずつ解きほぐしながら、それぞれの個性を尊重できる社会を目指すことが重要だと考えます。

 

 

 

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