臨床現場に出て15年ほど経ったアラフォー医師です。
最近、何かとニュースでは美容医療に関することが話題となります。
コロナ禍を経て、2020年から美容外科医、美容皮膚科医などの人数は3倍になったという話を聞きます。
以前、このブログでも 医学部を目指す人へ という記事を書いて医学部を目指す人に向けて自分が何を思うか、を書いてみました。
この点に関して「もう少し辛口」を意識して書いてみようかなと思います。
自分は医学部の学生と話をする機会があるのですが、「何科を志望していますか?」という質問を決まってしています。
まず、美容と答える人はいないです。
迷っている学生もいますが、学生の時点で診療科を決めている場合には大体3つのケースがあって、以下のように分けられます。
①実習でまわったりして好きと感じたから決めた(直感、好み、これまでの人生観から決めるタイプ)
②親がその診療科で開業しているから(線路の上を走るタイプ)
③奨学金の関係で診療科が決められている(奨学金で人生縛られているタイプ)
③の場合は、医師不足の小児科や産科、救急科などに指定されていることが多いですが、①の理由のように本人のやる気と合致すればそれは国にとっても本人にとってもウィンウィンの関係です。個人的には①+③が金銭的な面からも最強だと思います。なのでそんな学生に出会うと安心しますし、応援したいと思います。
②に関しても、①と共存すれば特に問題ありませんし、開業している地域への貢献を考慮すると良いことだと思います。
つまり、実家の事情、お金の事情などはありますが①のように本来好きな仕事、診療科に携わりながら人の役に立てることがその人にとっては一番よいと思います。ごく少数派ではありますが、高校生の時から診療科を決めていてそれが③の奨学金の受給条件と合致しているという学生もいます。
受験勉強の時に思ったのですが、自分のために努力するのはかなりのエネルギーが必要です。働き始めて気づいたのですが、人のために何かをするときは意外とエネルギーというのは自然と湧いてくるものです。自然と湧くエネルギーを上手に利用して働くほどは幸せだと思います。
ではどうして美容医療を目指す人が増えているのか?
まずはどうして美容医療を選択するのか?ですが
好きで美容医療を目指す人ももちろんいます。綺麗になりたい人を応援したいという気持ちで診療に携わっている人もいることは確かです。
同じ医者といえど、個人の能力に差はあります。この差は一般人が想像する以上にあると思います。体力がないのに心臓血管外科医を目指す人はいません。それぞれに適性と与えられた役割があるので、自分を生かせる分野が美容医療だという人もいます。先ほどの①が美容だったということです。
他に考えられるとすれば以下のような消去法での考えです。
例えば特別に志したい診療科もない時に目の前に2つの選択肢があるとします。
A:しんどくて大変な上に、給与は少ない診療科
B:楽で稼げる診療科
であればBを選ぶと思います。
理由はシンプルにそんなところです。
つまり、現代の医学生・研修医のマインドとしてそのような傾向を持った人の割合が少しづつ増えてきているということだと思います。
美容医療を選択するのは個人の問題ですが、美容医療を目指す人が増えているのは社会全体の価値観の反映でもあるかと思います。
美の追求、というのは人間の永遠のテーマでもあります。人間の欲求です。なので美しくなる、若返るというのは人間にとってはとても価値があるものです。ですからそこにしっかりとして価値が存在しているのは確かでありだからこそお金が注ぎ込まれます。
ここで言う美容医療にも2つの種類があると思います。
1つは、人間の美への欲求に真剣に向き合った美容医療
2つ目は、その欲求を利用した拝金主義の美容医療
消費者としては前者にかかりたいと思いますが、現場の体感は後者が多いです。消費者をはじめとする社会の目が後者を排除することを願います。
見分ける目にヒントはありますか?ですが
美容クリニックの院長の経歴見てください。
研修医からそのまま院長になっている人もいます。
研修医を終えてすぐ美容医療の道へ進むことを「直美(チョクビ)」と言うそうです。
研修医の2年間で経験した医療現場で美容のことを学ぶ機会はほぼありません。
手術をさせてもらえることなどほぼありません。
ただ、有名な大学病院などで研修した経歴を載せている医師もいますが
実際は対して何もしてなかったり、追い出されるようにやめていたり
最近は経歴だけ欲しくて入局している人なんかもいます
経歴もあてにはなりません
色々な合併症の話や噂も聞きますが
大体はお金の力で握りつぶしているとかいないとか
ここら辺はあまり触れると消されてしまうのでやめときます。
人を見る目は大事ですね
話が随分逸れてしまいました
いつの間にか消費者への助言みたいになってしまいました。
医学部を目指す人にはあまり参考にならない話だったかもしれません。
無理やりまとめると
将来、どこの診療科に進もうが、人のためになる道を選んでほしいと思います。
平均より頭脳に恵まれて生まれたことを感謝して
お金に騙されることなく
自分の道を進んでほしいと思います。
美に関しても
お金に関しても
人と比べると悲しくなります
もっともっと欲しくなります
吾唯足る心を持って
本当に価値のあるものを考え抜いてください
人生における幸せは
これから頑張って手に入れるものではなくて
今すでに身の回りにあることに気付けるかどうかです
有難いことに気づけるかどうかです
私自身も、進もうと思えば明日からでも美容医療に進めます。
そうしない理由は?
徳を積むことが人生の目的だからです。
美容では積めないのではなく、もっとわかりやすく積みたいだけです。
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