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【食】食と健康 緑茶とがんの関係|血管新生を抑える自然の力とは?

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 本質を考える医師です

 がん細胞が成長し、転移していくうえで欠かせないのが「血管新生」。これを抑制することで、がんの進行を食い止めることができるという視点から、製薬業界では長年「血管新生阻害剤」の開発が進められてきました。

そんな中、緑茶に含まれる成分にもこの血管新生を抑制する作用があるという研究報告が登場し、自然食品によるがん予防への期待が高まっています。

 

緑茶のカテキンががん細胞にブレーキをかける?

緑茶に多く含まれる「EGCG(エピガロカテキンガレート)」というカテキンには、試験管レベルやマウスモデルの実験でVEGF(血管内皮増殖因子)を抑制し、腫瘍の血管新生を抑える作用があることが報告されています。

一部の論文では、1日2〜3杯程度の緑茶で効果が期待できるという見解もありますが、これらはあくまでも前臨床段階の結果であり、人間での明確な効果はまだ十分に証明されているとは言えません。


緑茶をよく飲む地域では、がんが少ない?

私は静岡県出身で、幼い頃から緑茶を日常的に飲んできました。だからこそ、「お茶ががん予防になるかもしれない」という話は人ごとには思えません。

実際、静岡県内のある地域(旧・中川根町など)では、胃がんによる死亡率が全国平均の1/3〜1/5程度に抑えられていたという疫学的なデータも存在します。これが緑茶の効果であるかは断定できないものの、注目に値する事実ではあります。

一方で、国立がん研究センターが行った大規模研究では、緑茶の摂取とがん死亡率の間に明確な関連性は認められなかったとする報告もあります。特定のがん(例:胃がん)においてはリスク低下の傾向が見られるものの、全体的な評価としては「やや弱い」印象です。


食品の力を過信せず、日々のバランスを大切に

科学的には、「緑茶=がん予防」とまでは言えませんが、緑茶に限らず抗酸化作用・抗炎症作用を持つ自然食品が体に良い影響をもたらす可能性は高いです。実際、以下のような食品も抗がん作用が注目されています:

  • トマト(リコピン)
  • ブロッコリースプラウト(スルフォラファン)
  • ニンニク(アリシン)
  • ターメリック(クルクミン)
  • ベリー類(アントシアニン、ポリフェノール)

しかし、どんなに体に良い食品であっても、そればかりに偏って他の栄養をおろそかにしたり、「食べていれば大丈夫」と過信してしまうのは危険です。


まとめ:自然の力を信じつつ、日々を丁寧に生きる

緑茶に代表されるように、私たちの身近な食べ物の中には抗がん作用を持つものが確かに存在します。とはいえ、それは「魔法の薬」ではなく、日々の生活習慣や食事バランスの中でその一部として取り入れることに意味があるのだと思います。科学的なエビデンスは進行中ですが、自然の恵みにはまだまだ人間が気づいていない力が潜んでいるかもしれません。

私たち一人ひとりが、日々口にするものに目を向け、「何を食べるか」という小さな選択を大切にしていくことが、未来の健康につながる第一歩なのではないでしょうか。

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