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【食】食と健康 「日本人の健康を精製塩が悪化させた」

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 本質を考える医師です

 「日本人の健康を精製塩が悪化させた」という主張は、主に自然派や健康志向のコミュニティで語られることがありますが、科学的根拠としては議論の余地があります。この主張の背景や内容、そしてそれに対する評価を以下に整理して説明します。

「日本人の健康を精製塩が悪化させた」主張の概要

この主張の主なポイントは次の通りです:

  1. ミネラル不足による健康悪化
    • 精製塩はほぼ純粋な塩化ナトリウム(NaCl)で、天然塩に含まれるマグネシウムやカリウムなどの微量ミネラルが取り除かれている
    • これにより、日本人が伝統的に摂取してきたミネラルバランスが崩れ、代謝異常や免疫力低下が引き起こされたとする。
  2. 塩専売制度の影響
    • 日本では戦前から1997年まで塩が専売制で管理され、精製塩が主流に押し上げられた。
    • 天然塩の使用が制限されたことで、「日本人の食文化や健康が損なわれた」と主張される。
  3. 現代病との関連
    • 高血圧、心臓病、がんなどの増加が、精製塩の普及と結びつけられることがある
    • 特に、添加物(固結防止剤など)が含まれる精製塩が「毒性」を持つと訴える声も。

歴史的背景と科学的な視点

歴史的な背景

日本の塩専売制度(1905年~1997年)は、税収確保と品質管理を目的に導入されました。この期間、家庭用の塩はほぼ精製塩に統一され、天然塩は一部の地域や伝統的な用途に限られました。戦後の食生活の西洋化(加工食品の増加)も相まって、精製塩の消費が急増したのは事実です。

科学的な視点

この主張を科学的に検証すると、以下のような点が浮かび上がります:

  1. ミネラルの影響
    • 天然塩に含まれるミネラルはごく微量で、通常の食事で摂取するミネラル量に比べると影響は小さい。
    • 例えば、1日に必要なマグネシウム(約300mg)を天然塩だけで補うには、数十グラムの塩を食べる必要があり、現実的ではありません。
  2. 健康リスクの主因
    • 高血圧などの疾患は、塩分(ナトリウム)の過剰摂取が主な要因とされています。天然塩も精製塩も、ナトリウム含有量に大きな差はない(約99%がNaCl)。
    • 日本人の塩分摂取量は戦後、加工食品や外食の増加で増えたため、精製塩そのものより「食生活の変化」が影響している可能性が高い。
  3. 添加物の安全性
    • 精製塩に使われる添加物(例:フェロシアン化物)は微量で、国際的な安全基準を満たしています。これが健康を直接悪化させる証拠は乏しい。

データと研究

  • 厚生労働省の調査(2020年)によると、日本人の1日平均塩分摂取量は約10gで、WHO推奨値(5g)を大きく超えています。これは健康リスクの主要因と考えられますが、天然塩か精製塩かの違いはほとんど触れられていません。
  • 医学研究でも、塩分の総量が問題であり、ミネラルの有無が健康に決定的な影響を与えるという結論は出ていません。

主張の「闇」部分

この主張が広がる背景には、以下のような心理的・社会的な要因も関係しているかもしれません:

  • 自然回帰への憧れ:人工的なものへの不信感から、天然塩が「正義」とされ、精製塩が「悪」とみなされる。
  • 情報操作の疑念:専売制や企業の利益優先が、国民の健康を犠牲にしたとする陰謀論的な見方。

オモテ結論

「精製塩が日本人の健康を悪化させた」という主張は、科学的な因果関係よりも、感情や伝統への訴えに基づく部分が大きいです。健康を考えるなら、塩の種類より「総摂取量の管理」が重要です。ただし、食文化や味の好みとして天然塩を選ぶのは個人の自由です。

ウラ結論

何もかもにも科学的根拠を求めるのは不可能です。それは医師をしているとはっきりとわかります。同じ個体、同じ環境というものが存在しないため、特定の「原因」による影響だけを抽出してそれを比較することなどできません。

何を信じるかで人生は大きく変わります。

個人の選択ですが、より良い方を選択できるといいですね。

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