本質を考える医師です。
日本を大事にしたい、日本人を大事にしたい、日本の文化を大事にしたい
ということで、これを考えるうえで【食】はとても大事だと思います。
最近、インスタグラムで「買ってよかったもの」に「発酵キット」というものがありました。
発酵というものは生きている菌を利用したもの?なので、こういったものはいかがなものかと疑問に思いました。ヨーグルトメーカーとかどうなんでしょうかね。
発酵とは
発酵(fermentation)とは、微生物(細菌・酵母・カビなど)の働きによって、食品の成分が分解・変化し、栄養価や風味が向上する現象です。
発酵の結果、うま味・酸味・香りが増し、保存性が高まることが多く、日本の伝統食品にも多く活用されています。
発酵と腐敗の違い
発酵 | 腐敗 | |
---|---|---|
微生物 | 体に良い働きをする菌(麹菌・乳酸菌・酵母など) | 有害な菌🦠(腐敗菌・病原菌など) |
結果 | 風味が良くなり、栄養価が向上 | 悪臭や毒素が発生し、体に悪影響 |
例 | 味噌、納豆、ヨーグルト | 腐った肉、腐った牛乳 |
「発酵」と「腐敗」は、どちらも微生物の働きによるものですが、人間にとって有益かどうかが違います。
発酵の種類
発酵には、微生物の種類によって主に以下の3つがあります。
①酵母発酵(アルコール発酵)
- 主な微生物:酵母菌
- 発酵の結果:糖 → アルコール + 二酸化炭素
- 食品例:日本酒、ビール、ワイン、パン
- 酵母が糖を分解してアルコールを生成し、香りや風味を生み出す。
②乳酸発酵
- 主な微生物:乳酸菌
- 発酵の結果:糖 → 乳酸
- 食品例:ヨーグルト、ぬか漬け、キムチ、味噌
- 乳酸菌が糖を分解し、酸味が増すことで保存性が向上。
③糸状菌発酵(麹発酵)
- 主な微生物:麹菌(カビの一種)
- 発酵の結果:デンプンやたんぱく質を分解し、うま味成分を生成
- 食品例:味噌、醤油、甘酒、日本酒
- 麹菌が食品の栄養を分解し、うま味成分(アミノ酸など)を生み出す。
発酵のメリット
栄養価の向上
- 発酵によって、ビタミン・アミノ酸・酵素が増加し、体に良い影響を与える。
保存性の向上
- 乳酸やアルコールが生成されることで、雑菌の繁殖を抑える。
消化しやすくなる
- たんぱく質やデンプンが分解され、体が吸収しやすい形になる。
腸内環境を整える
- 乳酸菌や酵母が腸内細菌のバランスを改善し、免疫力アップや便秘解消につながる。
発酵食品を活用しよう!
発酵は、自然の力を活かした食文化であり、日本人の健康を支えてきた重要な技術です。現代でも、味噌、納豆、ぬか漬け、醤油、甘酒などを日常的に摂ることで、腸内環境を整え、健康的な食生活を送ることができます。
自宅でできる発酵家電
では、最近流行りの自宅でできる発酵キット、〇〇メーカーはどうなんでしょうか
家庭用の発酵キット(ヨーグルトメーカー、納豆メーカー、味噌作りセットなど)は、一定の温度や湿度を保ち、簡単に発酵食品を作れる点で便利です。ただし、伝統的な発酵方法と比べると、発酵環境や菌の多様性の面で違いが出ることがあります。
発酵キットのメリットとデメリット
メリット
✅ 手軽に発酵食品を作れる
✅ 温度管理がしやすく、失敗しにくい
✅ 雑菌の混入リスクが少なく、安全性が高い
✅ 発酵時間を短縮できる(例:ヨーグルトは8時間程度で完成)
デメリット
❌ 天然発酵に比べて菌の種類が少ない
❌ 市販の種菌を使用するため、地域や環境に根ざした菌の多様性がない
❌ 木桶や土壌発酵のような深みのある味わいが出にくい
データ・研究例
発酵の環境による影響について、いくつかの研究があります。
- 伝統的な木桶発酵 vs ステンレスタンク発酵(醤油・味噌)
- 木桶で発酵させた醤油は、乳酸菌や酵母の種類が豊富であり、うま味成分(グルタミン酸)が多くなることが分かっている。
- ステンレスタンク発酵では、特定の菌種のみが増殖し、発酵過程が均一化されるが、味の深みが出にくい。
- 発酵食品の乳酸菌の多様性
- 伝統的なぬか床や味噌には、数百種類の乳酸菌が共存しているのに対し、発酵キットで作るものは特定の乳酸菌に偏ることがある。
- 「地域に根ざした発酵食品は、その土地の微生物の影響を強く受ける」とする研究があり、家庭用キットではその要素が少なくなる。
- 発酵食品の健康効果(市販 vs 自家製)
- ある研究では、工業的に発酵させた食品よりも、自家製のぬか漬けのほうが腸内細菌の多様性を高めることが示唆されている。
- しかし、自家製発酵は管理が難しく、失敗すると雑菌が繁殖しやすいため、初心者には発酵キットが向いている。
結論:家庭用発酵キットはどうなのか?
➡ 初心者や安全性を重視する人には発酵キットが便利
➡ 伝統的な発酵方法(木桶、ぬか床など)には、菌の多様性というメリットがある
➡ 発酵キットを使いつつ、できるだけ天然の麹や発酵環境を取り入れるのがベスト
伝統的な方法による本格的なものはプロにお任せが良さそうです。
興味を持って、少し自分で初めてみるには発酵キットを使うのが良さそうです。
でも室温でじっくりと熟成させるのもセミプロっぽくていいですね。
家庭ではセミプロくらいがちょうどいい目標かなと思いました。
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