本質を考える医師です。
この前の記事の「ワンルームマンション投資の仕組みを読み解く」で紹介した同僚の「中古物件で毎月の手出しなしのトントンだから大丈夫です。」という発言ですが、直感的にはなんだかイケテナイなと思いながら、じゃあどうしてイケテナイのか説明できませんでした。
そんな時は、あいつに質問してやりましょう。
月々の手出しが「トントン」だから良い、という考え方は一見すると合理的に思えますが、投資の観点から見ると慎重に考えるべきポイントがあります。
「トントン」であることの意味
「トントン」というのは、
（家賃収入 － ローン返済 － 管理費・修繕積立金 － 固定資産税）＝ 0円
の状態を指していると思います。この場合、自己資金を追加で出すことなく、物件を所有し続けることができるので、一見リスクが少ないように感じるかもしれません。
しかし、「トントン」だからといって、本当に資産として持ち続ける価値があるのかを考える必要があります。
持っている意味を考えるポイント
1. 将来的な資産価値の変動
ワンルームマンションの価値は、一般的に 時間が経つにつれて下落 する傾向があります。特に、新築や築浅の物件は、築年数が進むにつれて市場価値が下がるため、売却時に 大きな損失 が出る可能性があります。
仮に「トントン」で保有していたとしても、売るときに大幅なマイナスが出れば、結局は損失を抱えることになります。
2. 家賃収入の下落リスク
現在はトントンでも、
✔ 築年数の経過 による賃料の下落
✔ 市場の変化（競争激化、新築供給過多など）
✔ 管理費・修繕積立金の増額
などにより、将来的にキャッシュフローがマイナス になる可能性があります。
特に、家賃は下がってもローンの返済額は変わらない ため、月々の手出しが必要になるリスクは無視できません。
3. 本当に「トントン」なのか？
多くの人が「トントン」と思っていても、実際には 見落としているコスト があります。
例えば…
✅ 空室期間の影響（1～2ヶ月空いたら一気に赤字）
✅ 固定資産税・都市計画税の増加
✅ 突発的な修繕費（給湯器・エアコン・外壁工事など）
✅ 退去時の原状回復費用
これらを考慮すると、実は 見えないコストが発生し、実際にはマイナス になっているケースも多いです。
4. 他の投資との比較
仮に、「トントンだから問題ない」 という考えを持つなら、
✔ その資金を他の投資（株式、ETF、不動産REITなど）に回した場合、どのくらいリターンが得られるのか？
✔ 流動性の低い不動産を持つことで、他のチャンスを逃していないか？
✔ ローンを組んでいる場合、心理的な負担はないか？
などを考えるべきです。
「トントン」で持っていても、他の資産運用の方がより効率的に資産を増やせる可能性がある なら、ワンルーム投資を続ける意味があるのか、再考する必要があります。
結論：トントンでも「持ち続ける理由」を明確にすべき
✅ 「トントン」＝成功ではない
✅ 売却時の出口戦略を考えないと、最終的に大きな損失になる可能性がある
✅ 将来的な家賃の下落や修繕費増加のリスクを見積もるべき
✅ 他の投資と比較し、本当にその物件を持ち続ける価値があるのかを検討する
もし 「資産価値が維持できそう」 であり、 「将来的に売却益が見込める」 なら、持ち続ける意味があるかもしれません。
しかし、単に「トントンだからOK」と安易に考えると、後々リスクが顕在化して苦しむ可能性があります。
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