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【医】医学部を目指すアホどもへ

’い’ 医療のこと

 

 本質を考える医師です。

 医学部を受験するアホどもへ。

 ど阿呆の自分から、普段思っていることを淡々と書いてみます。

 現場の温度感含めて少しでも「何か」参考にしてもらえるとありがたいです。

 そして、自分のことは棚に上げます

 でないと保身のため何かに忖度した意見になってしまうからです。

医師という職業について

 自分はアラフォー医師ですが、かれこれ臨床現場に15年以上います。多くの勤務医はあまり仕事熱心ではないと感じています。それがいいか悪いかは別とします。

 だいたい体感的に勤務医の7割くらいは仕事熱心ではなく、イマイチです。バイト先の医療事務の方に「脳外科医竹田くん知っていますか?やばくないですか?」と言われました。実際には医学部に1学年100人いたとして、まあまあヤバい人は10人くらいいて、かなりヤバい人は2、3人はいるという印象です。それを伝えると、どうしたら「竹田くんみたいな医者に当たらないのですか?」と聞かれましたが、なんと答えていいか分からず、それも運だよね、と言っておきました。

 勤務医と比較して開業医の先生は仕事量が直接収入と直結するため、頑張っている人が多いと感じています。しかしクリニックという特性上、提供できる医療レベルは病院と比較して低下してしまいます。

 高度な医療技術を提供するには大学病院などの特定機能病院に残るほか選択肢がないのが実情です。ただ基本的に給与は安く、労働とプライベートの時間に線引きをすることはかなり難しいです。現場ではこれをやりがい搾取だという人もいます。ただ本来の医師が存在する目的を考えると給与など二の次であるはずです。綺麗事ですが。

 勤務医であり、かつ、この高度な医療技術を提供するような病院から外れたような施設では医師の働くことに対する意欲はさらに下がりやすいという印象を受けます。

ガイドラインと利権

 内科医などはその治療方針が薬物療法であるためにガイドラインに則った治療を行う必要があります。もちろん個々の患者さんの状況に応じて臨機応変に対応することが大事ですが、真面目な医師ほど「ガイドラインに書いてあるから」を大義名分にして目の前の患者の治療方針を決めています。自分はガイドラインというのは一種の権威であり束縛と感じています。
 偉い人たちが集まって、たくさんの論文を読み、エビデンスレベルを評価して、特定の疾患に対して、特定の治療方法がどのような結果になるのか?その「傾向」を記述したものです。学術論文を根拠にしているので多くの医師にとって非常に非常に参考となる資料であり、標準的な治療の流布に役に立ちます。ただし、ガイドラインが最新のエビデンスに基づくものとはいえ、「そのエビデンス自体が誰の利益で作られたものか?」 を考え始めると、疑問が生じます。製薬会社の影響力が強いのは事実であり、新薬の承認プロセスや、治療法の推奨が商業的な意図と無関係であるとは言い切れません

 この構造に気づいている医師は少なくないと思いますが、問題は「気づいたとしても、それを変えられるかどうか」という点でしょう。現場の医師がガイドラインの枠を超えた治療を提供しようとすると、そもそも保険診療として認められていないこともある上に、医療機関からの圧力を受けるリスクがあります。

 例えば、エビデンスレベルの高い立派な論文が製薬利権と癒着しているなんてこともあります。昔、血圧を下げる薬(降圧薬)のディオバンが問題となりました。(下にディオバンに関してChat GPTの回答を載せておきます)

 多くの医師がディオバンを処方してきたと思います。このように、結局は論文やガイドラインなどの権威によって医師の治療選択肢は制限されており、それが患者に対してより良い標準的な治療を提供する上で大変役に立っていることは大前提として、それでも知らず知らずに製薬利権などに協力しているだけなのかもしれません。

 ただしここで問題となるのは製薬会社もさらに市場原理や薬価改定などの政府が決める「ルール」に振り回されており、結局、誰が悪いのか?というよりもこのような構造や仕組みになっている以上、このようなことは起きてしまうという表現が正しいのかもしれません。

医学部教育カリキュラムの問題点

 医学部の6年間ではたくさんの勉強をしてきました。解剖学、組織学、生理学、生物学、病理学、ゲノム、内科学、外科学などなど。多くの時間をかけてこれらの授業を受け(授業を受けない人も一定数いますが)勉強し、試験に合格してきました。しかしながら、医学部の授業では診断法、治療法の勉強はしますが、病気になった原因を教えてもらうことはほとんどありません。タバコ、お酒、とか言いますがそれはほんの一部の疾患でしかありません。「分からない」というのが実際ではないでしょうか。

 例えば糖尿病の授業では薬物療法の勉強はしますが、食事指導に関してほとんど「糖尿病の初期は食事指導をしましょう」のひとことで終わってしまいます。じゃあ具体的にどのような食事が大事ですか?カロリーや糖分が低ければそれでいいんですか?これに関しては教わった記憶はありません。

 自分は多くの疾患は普段の生活が原因だと思っていますが、特に食事が大事だと考えています。この食事に関して教わる機会はほとんどありません。ですので、医師に「食事」のことを聞いてもあまり良いアドバイスはもらえないのではないかと思います。もちろん的確なアドバイスをする人もいると思いますが、バランスよく食べなさいとか、誰でも言えるようなことしか言わない人もたくさんいるのではないでしょうか。


 食事が健康にとって大事であることは先人達からも教わっていることです。人間は食事をすることで生きています。いただきます、とはそういうことです。食事や生活習慣を見直して病気を治すこと、病気にならないことは経済的にも合理性があります。ただし視点を変えれば、医療を通して利益を上げている立場からすると不都合なことであるのも確かです。慢性の病気は治さない方が良い、というのが医療のひとつの闇だと思います。

 特に 「食事と健康の関係」 は、医療業界全体で本来もっと重視されるべきテーマですが、医師のカリキュラムではあまり深く扱われません。伝統的な食文化や栄養学の知識よりも、薬や手術による治療が中心になるのは、医療のビジネス構造とも関係しているのでしょう。

「病気を治すより、管理し続ける方が医療ビジネスとしては有利」 という考え方が、業界のどこかに存在している可能性は否めません。高血圧や糖尿病などの慢性疾患は、根本原因を解決するよりも、長期的に薬で管理する流れが主流です。これは患者にとって本当に最善なのか、医師として悩まれる部分も出てくるかと思います。

 

👉 to be continued

  https://onorenoo.com/【生】医学部を目指すアホどもへ②/

医療のことをテーマにした記事に添える

 

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 ディオバン(一般名:バルサルタン)は降圧薬の一種で、ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)に分類される薬です。この薬を巡る問題として、製薬利権と学術論文の不正という二つの大きな視点があります。


1. 製薬利権の視点

製薬業界は、新薬開発に巨額の資金を投じるため、特許期間中に最大限の利益を上げようとします。ディオバンも例外ではなく、特許期間中に売上を伸ばすための様々な戦略がとられました。

製薬会社の販売戦略
  • 臨床試験のスポンサーとしての関与
    • 製薬会社が資金提供した臨床試験は、結果がポジティブに出やすい傾向があります。
    • ディオバンは、複数の大規模臨床試験を実施し、その結果を基に積極的に販売促進が行われました。
  • 医師・医療機関との関係
    • 製薬会社が医師に講演料や研究費を提供することで、処方が増える傾向があります。
    • 過去には、医師が製薬会社からの影響を受けすぎないようにするためのガイドラインが強化されました。

2. 学術論文の不正

ディオバンをめぐる最大の問題は、学術論文のデータ改ざんでした。

ディオバン事件(論文不正問題)
  • 背景
    • ディオバンの有効性を示すため、複数の大学病院で大規模な臨床試験(Jikei Heart Study, Kyoto Heart Studyなど)が行われました。
    • これらの研究には、ノバルティス社(製薬会社)の社員が関与していたことが問題となりました。
  • 不正の内容
    • データ改ざん・統計操作
      • 論文では、「ディオバンが心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中など)を減らす効果がある」と報告されました。
      • しかし、後にデータの改ざんが発覚し、論文は撤回されました。
    • 製薬会社の影響力
      • ノバルティス社の社員が、研究データの解析を行っていたにもかかわらず、それが公表されていなかった。
      • 製薬会社が研究結果に影響を与えた可能性が指摘されました。
  • 社会的影響
    • ディオバン事件をきっかけに、日本の医療界では製薬会社と臨床研究の関係性がより厳しくチェックされるようになりました。
    • その後、企業が関与する研究の透明性を高めるためのガイドラインが強化されました。

3. どう考えるべきか?

ディオバンの問題は、単に一つの薬の不正というだけでなく、「製薬会社の利益追求と医療倫理のバランス」をどう考えるかという本質的な問題を示しています。

  • 学術研究の独立性が重要
    • 製薬会社の資金提供を受ける研究がすべて悪いわけではありませんが、データの操作や結果の偏向があってはならない。
    • 研究者が製薬会社の利益に左右されない環境作りが必要
  • エビデンス(科学的根拠)を鵜呑みにしない姿勢
    • 一つの論文だけでなく、複数の独立した研究を総合的に評価することが重要
    • 医療従事者も、製薬会社のプロモーションに流されず、本当に患者にとって有益かどうかを常に考える視点が求められる
  • 製薬会社のマーケティングと医師の関係
    • 現在は規制が強化され、製薬会社と医師の関係も透明性が求められるようになっていますが、それでも利益相反(COI, Conflict of Interest)の問題は完全には解決していない
    • 患者目線での医療のあり方を考えることが、医師にとっても重要。

結論

ディオバン事件は、製薬利権と学術論文の不正がいかに医療の信頼性を揺るがすかを示した象徴的な事例です。
この事件を通じて、「企業の利益と医療の倫理がどう共存すべきか」を考えるきっかけになりました。
今後も、エビデンスの信頼性を疑う視点と、製薬会社との適切な関係性を保つ姿勢が求められます。

 

 

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